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2021年5月15日 (土)

寝耳

森の中にて木々を相手に指揮棒を振るう少年、が描かれるはロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」。俳句の上達に欠かせぬは視座、だそうで、久々の観客に没頭する奏者やまさに揺れる木々。やはり、「無観客」というか、画面向こうでは「気」が伝わらぬ。一時は開催が危ぶまれたアルテリッカしんゆりにて巨匠の名作を聴いた。

非常事態にやむなき措置、とは申せ。届くメールに全額返金の文字を見かけるも手続きは別会社が代行、とあらばよぎる不安。千人規模ともなれば払戻の手数料とてバカにならず。ボタン一つの操作にて人の介在するもんでもあるまいに、こと最近は手数料が割高に見えてならぬ。

新たに振込先を聞くにひと苦労、実際の手続きにふた苦労。それも一つの公演のみにあらず、突然の中止に生じる違約金や出演者への支払い交渉は難航必至。契約の通りと申しても情が絡まばそれほど簡単には片付かぬ訳で。客を獲得できぬ非は負って当然も不可抗力の後始末に追われる興行主の疲弊や見るに偲びず。

事務ミスの報告が絶えぬ。システム化と申しても入力は「人」の手によるものにて完璧なく。不祥事が発覚するたびに叫ばれるチェック体制の強化。一度の点検を二度、三度と。ミスが生じた以上は問われる対応、何かしら手を講じねばならんとの使命感や立派なれど、気合と根性でミスが防げるか。木を見て森を見ず、そこに固執するあまりにかえって手間が増える事例や少なからず。

つい最近も小児医療費を巡る誤徴収に返還や請求が生じるとの報告を受けた。現行では通院医療費の一部が自己負担とされており、残りを市が負担する仕組み。自己負担額は一回につき硬貨一枚、五百円。県外にて受診した際は償還払い、つまりは受診後に返還の為の申請が伴う。入院か通院か、そして、当事者の所得に応じて生じる自己負担の有無、そこの「一部」に人為的なミスがあったと。

およそそんな事例は相手からの申立に発覚するものなれど、今回や市の監査にて見つかりし「一」件。監査の指摘に「他もあるやもしれぬ」と人海戦術にて突合が行われた結果、件数にして数十の誤りが発覚、と申しても一件あたり硬貨一枚とあらば総額にして五万円に満たぬ。つまりは数十人に対して五百円を「貰う」「返す」の話。

いや、五百円といえど公金には違いなく、気がつかぬから許されるという話になく。市の不手際にて誠意示さんと訪問する、いや、連絡を取らんとするに寝耳に水、と困惑されるやもしれぬし、振込にしても手数料ばかりかその手間や何とも惜しく。誤入力を検知して警告を発せぬ仕組み、と原因に述べられるも新たな仕様を追加するにもシステムとあらば文章に一文を追加するような訳にはいかず。

本来は全額が自己負担とされるべきものにて無償とあらば公金投入の認識が希薄化しかねず、無秩序を招きかねぬとの懸念。されど、そもそもに無償といえどそれで済むなら医者の顔など。硬貨一枚が生んだ重すぎる代償。監査とてさすがに見逃すことなど。他山の石とすべし。

(令和3年5月15日/2641回)

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