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2019年1月15日 (火)

眼鏡

三時間待ちの三分診療と揶揄される世界、それでいてミイラ取りがミイラというか別な御荷物を背負わされてはかなわぬ。よほどの不摂生でも無い限りは本来備えている免疫力に寝れば翌日には...。されど、医師から処方されるクスリってのは市販薬に比べて不思議と効くんだよナ。

良医とは何ぞや。Tさんによれば機械的な診察ならぬ患者に寄り添う、つまりは話を聞いて下さる先生を意味するらしく。とは申せ、所狭しと居並ぶ患者群にあって隠居族の世間話に付き合わせては傍迷惑ではないかと窘めれば完全予約制にてそちらの心配は御無用とか。久々の対面に枯れ気味の声。かねてより聞き及ぶ懇意の良医への受診を勧められるもそんな些細な動機で受診しては他の患者のみならず折角の良医にも申し訳ないと固辞する私に目的はそれのみならずとTさん。

それを口実に行かば名乗らずとバッチが勝手に宣伝してくれる訳で...。「いやいや、そんなことしてまで」と言えればいいのだけれども口実というよりも事実そうであるし、何よりも善意の御節介は拒んではならぬ。「すぐ行こう」、何とも不純な動機ではないか。着いた玄関先で紹介の御礼申し上げ、暇乞いすれば勝手知らずに困るだろうからと同伴を申し出る親身ぶりに良医以上によき支援者に恵まれた幸福感に浸ることしばし。

待合室の受付には妙齢の看護婦。常人ならぬ患者相手とあってマスクは必須。白衣の天使、眼鏡にマスクが美人に見えるとか。覆われる部位が大きいほど広がる妄想、口元が顔に与える印象って大きいんだナとTさん。ひょっとして同伴の目的は「私」ならぬ別な意図があったのではないか...。いや、本人の名誉の為に申し上げておけば心臓の疾患にて定期受診されているのは事実にて懇意かどうかは別にせよかかりつけ医には違いなく。

小声といえども静寂では相手の耳に届く訳で一歩間違えばそちらを疑われかねず。昨今なんぞは露骨な接触行為のみならず、相手が抱く不快さが尺度だそうで同じ言動といえども相手次第。饒舌に語るTさんに相槌を打ちつつ、向けられた視線の先は受付の表情にてそのへん心配無用と知った。

勝手な妄想といえばこちら。まだまだ若いもんには負けぬとの介護度の調査に見るまでもなく誰しもが自らを良く見せたいもの。それが当落を左右するとならば尚更で。大半がまだ見ぬ有権者にてその一枚を「信じる」しかないのだけれども昨今は別人が如く加工が可能にて。実物か写真か、会って落胆させる位ならば実物のほうがいいと思わせたほうが...とは知りつつも抜かりない一枚を撮り終えた。

当人の生き様が現れるのが顔なれどその表情は作れる訳で。身内に不幸があろうとも平然と祝意を述べねばならん稼業と教わった。難局において主導者が狼狽しては周囲を不安に陥れる。思慮は悲観的でも所作は楽観的に。頼まずと「震災市長の手記」なる自署入りの一冊届いて読了。被災地に冬将軍が訪れている。

(平成31年1月15日/2476回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

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