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2017年8月

2017年8月16日 (水)

三国峠

贔屓の作家の新刊に三十年ぶりのクラス会の案内を聞いた主人公が当時の恩人へ御礼を言う為に出席を決意するシーンが登場するんだけど、私の学年も来年が卒後三十年だとかで早くも準備に余念がない。

こちらじゃいつも脇役なれど向こうに戻れば押しも押されもせぬ主役級な訳で。そこに生活実態が無いもんだから些か負い目を抱きつつも「乞われて」この夏二回目の帰省を終えた。何もその為だけにわざわざ...と倹約家の母の小言が聞こえてきそうで内緒で宿を探せば何処も彼処も満室ばかりかようやく見つけたビジネスホテルも数割増の料金は納得いかず。私はやんごとなき事情なれど盆は実家に泊まるんぢゃないのかと。

どうせなら「ついで」を見つけたくなるもので、シューズに着替えといつでも用意は怠らず、後は荷物を預けるロッカーとシャワーがあれば十分。となればやはり目の前に温泉が並ぶそちら。越後湯沢と三国峠の往復を目指したんだけどさすがに「ついで」には無謀が過ぎたか、雨にも降られて途中で折り返すことに...それでも随分走ったけど。

そう、当時などは東京といえばとんでもなく遠いところで特急「あさま」で半日以上、昼食は横川駅で峠の釜めしと。それが上野と新潟を結ぶ上越新幹線の開通に長岡経由になり、その後は越後湯沢と私の郷里の直江津を結ぶほくほく線が出来て更に近く。長野新幹線から北陸新幹線へと路線を伸ばしたものの上越妙高駅は随分手前なもんだからそこからは在来線。が、その本数が著しく少なく...。

同級会の下準備のはずが、卒業アルバム片手にアレコレと昔話に花が咲く。誰と誰の関係がどうだったとか、私の知り得ぬ恋バナに誰それの近況云々と。全八組もあれば消息不明も少なくなく、目撃情報が寄せられるも潜伏先までは掌握できず、手がかりはアルバム巻末の実家の連絡先のみ。およそそんな厄介な役回りは私の仕事らしく携帯片手に番号を押せば突然の電話に動揺する母親に後ろから「やめておけ」の父親の声。それでも受話器を置く間際にそっと近況だけは教えてくれた。

ヒロインのKさんなどは知らずと近くに居るらしく、いつぞやに私のポスターが話題になったと聞いて「随分勝手ぢゃないか」と詰め寄れば「向こうは高嶺の花ゆえ」と意味不明な回答。小学校以来のN君が料理の道に進んだというのは知ってはいたものの、今や気鋭のシェフとして都内で御活躍だとかで、こちらは機会を狙っているんだけど、当時はキャベツとレタスの違いも分からなかったぞと聞いて些か尻込み。

校内でも指折りの成績だったI君などは進学校から国立大、県庁へと何とも当人らしい順調な人生を歩んでいたらしいのだが、数年前に不祥事で懲戒免職になったとか。成績こそ劣らぬまでも当時から傲慢だった私も彼の日頃の姿勢に教わることも多く、あの性格を知るに何かよほどの事情があったとしか思えんけど、その後、消息が途絶えていると。

何かしらの負い目があると疎遠になりがち、されど、それを気にせぬのが机を並べた仲というものではないかと。

(平成29年8月16日/2371回)

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2017年8月12日 (土)

一景色

名だたる旧家ではないのだけれども御先祖様への墓参り位は...というよりも宿泊代に手間もかからず夏休みの家族旅行に好都合などという不純な動機にて郷里への帰省を終えた。

地方の移動には車が必須、界隈の名所は行き尽くしただけにこと近年は手前の長野県から車を借りていくことが大半。俳句の同人誌「さざなみ」の今月号に掲載された代表の挨拶に一景色について触れた部分があって、それは郷愁というか忘れ得ぬ景色を意味するらしく、同氏にとっての一景色は小諸懐古園の島崎藤村の詩碑のあるあたりだとか。千曲川に浅間山、風光明媚な信州の自然は見どころ満載。

新幹線の車内誌に目を通していたんだけれどもやはり花より団子、八珍果で有名な果物王国、山梨県を脅かす各地の台頭著しく。種と皮を克服した品種改良の技術はスゴい。ここ数年、シャインマスカットにやみつきなんだけど、ナガノパープルなんて品種を見つけちゃったもんだからこの秋はそちらに狙いを定めて...。まさに群雄割拠の戦国時代、巨峰がコシヒカリに重なった。

そう、本市に福島県産ブランド桃「ミスピーチ」が届いて試食した市長が称賛されていた記事を見かけたけど、負けじとおらが事務所にも福島県の菱沼農園から自慢の桃が届いた。生産者が手塩にかけて育てた作物をいただくのは何とも贅沢でそれが加工要せぬ果物とあっては...最高に旨かった。被災地の支援活動を続けておられたあむえこねっと代表のSさんからのものなんだけれども何かの縁がなければ巡り合わぬだけに。旬の味覚といえばこの御仁からも毎年おいしいりんごが届くんだけれども私などは選挙区外にて何か恩返しは出来ぬものかと。

内閣改造。県内からは異例の三名が入閣、進次郎氏が党の要職に起用され、ベテラン組ではわれらが田中和徳代議士が見送られる格好になった。当選回数、実績ともに申し分なく、貫禄十分にてその位しか理由が見当たらんのだけれども「地盤」「看板」「カバン」の三ナシの徒手空拳で上京し、無党派層が多数を占める都市部で連続当選を重ねた裏には人に言えぬ苦労もあったはず。

何か一つ事を成せば敵の恨みを買い、凹凸も生じる。それこそが仕事をしてきた証なんだけれども叩くことが目的化しちゃってる昨今の風潮下においては何の意味もないどころか逆効果。無菌室で育った子に免疫が備わるはずもなく、多少横道にそれたほうが人として健全に育つことが往々にしてある訳で巷の魔女狩りが過ぎては成長を阻害しかねず。今もなお不釣合とは思わなんだけれども当時は悪代官と呼んで憚らず、小言の一つでも覚悟していたんだけれども聞くにまんざらでもない様子にて...昔の話。

そう、悪代官といえばこちとら現職の中では群を抜く存在の大物。両者の国会における応酬が記事になったことがあって、頼んでもない切り抜きが机上に配布されていたのは相手への対抗意識か。書店でたまたま見かけた自称「ブサメン」政治家の回顧録、「亀井静香、天下御免!」を読んだ。著者の岸川真氏は日本映画学校の卒業だそうで。

(平成29年8月12日/2370回)

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2017年8月 8日 (火)

恐竜

水入らずの会話を交わした夜に最愛の妻が永久の旅路につかれたと聞いて、ありし日を偲びつつ、惜別の一句をそっと手帳に記した。輪廻転生、いつか迎える死。一般的に忌諱されがちな死と向き合うことで教わることは少なくない。虐待やイジメが横行する原因の一端もそのへんにあるのではないかと。今年も旧盆が近づいてきた。迎え火こそ炊けぬながらも御先祖様に想いを馳せる慣習を大切にしたいもの。

さて、小学生の頃は水泳部(しかも主将)だったもんだから午前中はプールで部活動、午後はそのまま海で...。ゆえに私にとって夏といえば海なんだけど、妻に言わせると夏は恐竜なんだそうで、確かに言われてみれば大恐竜展なんてのもやってるし、ジュラシックパークの再放映もあったりして星空観測に並ぶ夏の風物詩かも。大自然の神秘や太古の歴史に想いを馳せるのも一興だけど、それを制御しようとするのは高慢でいかに愚かなことか映画が教えてくれる。

大自然の猛威、相次ぐ各地の豪雨被害。中でも7月5日に九州北部地方を襲った豪雨災害は国の激甚指定を受けたばかりかその後の台風も重なり被害は深刻。街頭での救援募金活動には多くの方々から厚意が寄せられた。これまでに縁なくそちらの土地勘は薄いのだけれども福岡県朝倉市では当日の1時間雨量は過去最大となるほか例年7月の月平均をゆうに超える雨量をたった1日で記録。近年の集中豪雨の特徴は積乱雲が帯状に連なる線状降雨帯で今回も海面温度や梅雨前線等の複数の悪条件が重なりもたらされた、と分析されている。

報道によれば元々林業が盛んな地域にて土石流に含まれる流木が被害拡大の一因とされるも林野庁の調査では樹木の種類や間伐の有無による違いは見受けられず、森林の保水力の限度を超える記録的な雨量に加えて真砂土と呼ばれる砂質土が表層崩落が多発に繋がったと見かけたが、花崗岩が風化した砂状の地質は平成26年8月の広島土砂災害の被災地に同じ。

さて、本市。各地での記録的な雨量に相次ぐ被害を受けて、多摩川と鶴見川の洪水避難地図、いわゆる洪水ハザードマップなるものを改定。およそ200年に1回程度とされた想定雨量を1千年に1回程度へと見直しを図るとともに河川の氾濫による浸水想定地区を公表することで注意喚起を促すというもの。

それはそれで結構なのだけれども河川の氾濫に限らず身近なところでも局地的な集中豪雨に伴う冠水被害が見られ、そのたびに雨水管の径を太くする処置が施されるもおいそれと出来るものでもないばかりか対症療法にすぎず。雨水の地下浸透は自然の原理、地方では限度を超えた雨量に地盤が緩む構図だけれども、こと開発が進む都市部においては表層がアスファルトやコンクリートだったりするものだから道が河川化したりもして...。

そんな事態を回避する為に調整池や浸透ますなどが減災の緩衝役として期待されるも浸透ますなどは思うように普及が進まぬらしく、その原因はどこに、今後の対応はいかにすべきか。秋の決算審査特別委員会に向けてこの夏の自由研究はそれで。

(平成29年8月8日/2369回)

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2017年8月 4日 (金)

毒舌

壁に耳あり障子に目あり。早かれ遅かれそんな話が耳に届くのも時間の問題なんだから手柄話とばかりに吹聴せぬほうが身の為だったかも。将来を嘱望されたエースに挑むは名うて(と評判の)経営者。私が示した妥協案すら納得いかぬと徹底抗戦も辞さぬ覚悟にてその意向を市側に伝えれば「(センセイの)手を煩わせぬゆえ御安心を...」と更なる譲歩はせぬ旨の返答があった。

そもそもに幕下行司が結びの立合いに呼ばれたようなものでそのへんが混乱の元凶なんだけれどもそこまで自信満々に返されては仕方あるまいと相手方に結論のみ返事をして、なりゆきを静観していたんだけれども「センセイ絡みのあの事案は一言で片づけられたみたい」との風評。語り主の口調に「所詮はその程度のもの」とのニュアンスが含まれる。

火の無いところに煙は立たぬ、当たらずとも遠からずか。そうなると話が些か違ってくる訳でこちとら役所の事情を斟酌して緩衝役を買って出たつもりが「その程度」とあらば擁護する気も失せて...。相手の意に添わぬ結論の際はより微に入り細に入り対応せねばならんのだけれども知識に勝るエースも処世術には疎かったか。

さて、重い事案は片づけておいたから「あとはアンタでも...」とでも言いたげな前任者からバトンを受けた議会改革検討委員会の委員長。俎上に上がる議題は議会報告会について。開かれた議会といえば聞こえはいいが、それを名目に始まった委員会のネット中継。こないだなんかは私が委員長を仰せつかる議会運営委員会の中継がシステム不具合により一部流れなかったとかで報告を受けた際に興味本位で当日の視聴者数を聞いてみれば...ウン人だとか。

議会報告会とて政令市を含む各自治体の実績が公表されているものの参加者数は数十名がいいところ。集客の努力が足りぬというけれども様々な媒体での告知に全議員が街中にてビラ配布を実施、そんな涙ぐましい努力も報われず参加者数に然したる変化は見られなかったとか。となると手段よりも巷の耳目を集める内容こそ...。

やはり手元の資料だけでは判断出来ぬ。百聞は一見に如かず、現場の声を聴いてみるべしと視察が企画されるも本委員会に割かれた予算などあるはずもなく、県内にて実施している自治体を訪ねて現状と課題を伺った。あくまでも議会の報告会だから資料作成から当日の運営までは全て議員が担わねばならず、そのへんは根性論で克服するにせよ、個々の思想信条、主義主張はてんでばらばらな訳で自由な発言を許せば自己PRに余念なく勝手放題にて収拾がつかぬ。

議会として実施する以上は当然ながらそのへんに制約が課せられるのだけれども参加者からすればそれだけでは物足りぬ訳でやはり「あの道路はオレが予算を付けてやったんだ」との歯に衣着せぬ物言いがなくては。聞きたい話が聞けぬ参加者と言いたいことが言えぬ議員、そこにサボる手抜きの意図はないのだけれども議会なる看板が足かせとなり、双方に鬱憤が募る結果は何とも残念。

そう、確かに参加者数だけ見れば個々の報告会のほうが断然多く、それとて入場が拒まれるものでもないのだから毒舌の利いた独演会に取捨選択を有権者の皆様に委ねたほうが賢かったりもして...。

(平成29年8月4日/2368回)

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