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2016年9月

2016年9月30日 (金)

海外視察

天中殺か大殺界か、厄難の年に袋叩きの富山市議会。で、それと双璧をなす格好の材料がこちら。

「不在」-「海外視察」-「御手盛」の三段論法による風評被害とそちらで得られる成果を天秤にかければ軍配は明らか。諸センセイ方の名誉の為に申し上げておけば成果が少ないってんじゃなくてあくまでも風評被害のほうが...自己弁護か。

で、実はここだけの話、今年がその年で事が目前に迫ってきた。視察先の一つが北欧のヨーテボリだそうで、その事前勉強会に招かれた講師というのがこの春に定年退職された元局長。かつては意欲ある若手職員に見聞を広めてもらい、それを本市の為にと創設された海外派遣制度を利用して訪ねた先がそちらだそうで。

実は過去に別な元局長からも似た話を聞いたことがあった。やはり当人が若かりし頃に了承されて向かった先は欧州のごみ処理施設。慣れぬ英語でアポを取り、訪ねたまでは良かったものの、「聞いていない」と門番。いや、そりゃ何かの間違いだと調べてもらえば翌日に「川崎市」の予定があるとのことで、しぶしぶながら出直しとなった。

で、翌日に訪ねれば見覚えのあるおエラいセンセイ方御一行とバッタリ。「おい、何で君がいるんだ」との詰問に(そりゃこっちのセリフだとばかりに)それまでの経緯を話せば偶然の巡り合わせに意気投合?否、相手は雲の上の存在だけに緊張の連続だったと。

が、その甲斐あってか、以降の覚えめでたく...ってのは冗談にせよ、昇進を重ねて局長まで出世されたものの、本人が目指してきた施策に一定の目途が付いたことから自らの経験を生かせる新天地を求めて定年前に退職。そんな元局長から退職後にレクチャーをいただいたことがあった。

ということでそちらの話を整理しておくと本市が推進してきたごみ減量化と分別品目の拡大が奏功してごみの焼却量が「随分と」減った。結果、それまで4つあった焼却場が3つでやりくり出来ることになった。これがいわゆる「3処理体制」といわれるもので、それによる効果は今後40年間で720億円、単年度当たり18億円と。

が、そこにはカラクリがあって、この40年間に建てられるであろう焼却場の建設コストなども含まれるから単純にその額が縮減される訳ではないものの、それなりの効果が得られたのも事実で他の自治体などでも追随の動きを見せている。これまでの常識では分別品目の拡大は循環型社会の実現に向けて先駆的ともてはやされてきたものの、性急に進めた自治体などは最終処分場の確保に手間取り高くついたのは有名な話。

されど、そのへんを予見した本市などは直営部門を縮小、つまりは職員数を削減しつつ、その余剰分を以て分別品目の拡大に充てるのが功を奏して、この間の全体費用は横ばいならぬやや逓減。が、現業と呼ばれる清掃部門は毎年一定の方々が退職を迎える一方で新卒採用は見送られ続けたままだけに次なる課題は最後の砦となる普通一般ごみの収集における直営を維持するか否か、それと同時に有料化が俎上に上がってくる。

世間の風は民間委託だが、東日本大震災以降はその教訓から直営が見直されつつある他、ごみ減量に向けたインセンティブとしての効果を狙った有料化も期待するほどの成果ではなさそうで。保育や小児医療と違って万人が恩恵を被るごみ行政については税負担が妥当だと委員会の中で断言すれば隣のHセンセイが心配して「大丈夫ですか?」と。んなもの気にするものではない。

(平成28年9月30日/2293回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

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2016年9月26日 (月)

夢櫻

どうせ勘定はそちらになってしまうのだから親孝行などと言えたもんではないんだけど食事会にて母の贔屓の店に顔を出した。本来、そちらに目がいくことは少ないんだけれども器も上品で旨いもんを愉しませてくれる。以前はそれほどでもなかったはずが、最近は予約もなかなか取れずに久々の一席に舌鼓を打っていれば、「実は長年の御愛顧いただいたのですが...」と店主。

閑古鳥ではあるまいに「はて?」と聞けばオーナーの都合から退去せざるを得ないとか。それにしても月末とは随分急だナ。いつもは料理ばかりでそんな話をする機会も無かったんだけど、愛娘の誕生とともに開店した店なだけに特別な想いがあるようで...。こちらの前は銀座でやってたとか。うん、こりゃ通用するよ。腕は裏切らぬからまたいづれどこぞに出店の際にはぜひ一報を...と連絡先を残した。

さて、「深夜特急」で有名な沢木耕太郎氏に「馬車は走る」というノンフィクションがあって、若き日の石原慎太郎が革新系の美濃部亮吉に挑む都知事選を描いた「シジフォスの四十日」が含まれる。保守分裂となる以上は野党が結集すればそこに勝機が生まれるはずで、野党統一候補の擁立にあたり余計な立候補は辞退するようにとの圧力。当人にすれば相当に忸怩たる想いがあったはずで「野党共闘の”被害者”は語る」との副題がついた宇都宮健児氏のインタビュー記事「鳥越さん、あれじゃあダメですよ」を読んだ。

加害者なんぞは都合のいい勝手な御託を並べるだけで被害者の慟哭の中にこそ学ぶものは少なくない。「野党4党、市民連合の方々に求めたいのは安倍政権が独裁的だと批判し、民主的なやり方を求めるならば自らもまた民主的なやり方を貫かなければならない」と手厳しい。

固定資産税が主な歳入財源となる市町村に対して、法人事業税を主な収入源とする都道府県、ゆえに財政は景気に大きく左右されるんだけどそれでも本社が集中する東京都はダントツ。そんな都と隣接する本市を比べて不満を言われてもダビデがゴリアテに挑む、いや、それはダビデが勝っちゃうから...幕下十両が横綱に挑むようなもの。

まぁそれだけの財源を自らの一存で差配する訳だから権力者には垂涎の的でそれに群がる輩は少なくない。どこぞの代議士だなどとエラそうなことをいっても所詮はその他大勢の一人に過ぎず、それに比べれば一匹狼の都知事は破格の存在。で、話題の豊洲の話になるんだけど、リトマス試験紙と第三者を装った学者風情のコメントに作為的な意図を見てしまうのだが、そのへんの侮れぬ脚本力に教わることは少なくない。

が、知識をひけらかして悦に入るのは勝手にせよ、ならばどうするという肝心なものが抜け落ちている訳で、現実には物事を解決していかねばならず...。工事受注を巡る一連の疑念と移転先の安全基準は別次元の話。「築地」に捨てがたい愛着を抱きつつも苦渋の決断に足並みがそろったのだから...。食の安全を言われれば絶対的なものなどない訳でそれをいうなら築地の衛生面はどうなんだと。まずはそちらを視察してみてはいかがかと。

(平成28年9月26日/2292回)

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2016年9月22日 (木)

祭衣装

縁起物ゆえに上がり調子、つまりは何でも「上を向く」ってことが肝であって、当然ながら帯の結び目もそういう形に整えるのが「粋」なんだけど年に一度のことゆえ何度教わっても...今年も人目に付かぬところで直してもらった。「野暮」だナ。

そうそう、今年は大変だったんだ。宵宮に本宮と2日間の連チャンに半纏などは通しながらも腹掛に股引などは下着に同じ、翌日は違うもので...と収納棚を覗いて気付いた。昨年、股下が破れてしまって、うっかりそのままだった。買いに行こうにもこれからでは間に合わぬ。焦る私を横目に妻が一言、「アマゾンで頼めば夕方には届くよ」と。おいおい、祭衣装ってのはそういうものぢゃないんだ。「コイツの親は何を教えとるんだ」などと言えば火種になりかねぬから「おぉそうだな」と適当に相槌を打った。

「様」などとあると保護者に媚びているような気がしないでもないが、4年生保護者様へと記された手紙を見せられた。国語の授業で「十年後のわたし」を学ぶらしく、これまでの十年を振り返り、十年後の自分に手紙を書くのだとか。で、それに付随する形で親から子への想いを綴った手紙を用意して欲しい、それもいわゆるサプライズを狙ったものにて子に見せぬようそっと封筒に入れて持たせるようにと御丁寧に手紙の例なども記されている。ふむふむ、中々いい企画ではないかと頷いていたんだけどそれを見せた意図は私に「書け」ということらしく、息子への手紙を書いた。内容?それは...ひ・み・つ。

さて、代表質問と分割議案の議決を終えた。その一つに教育委員の任命議案が含まれる。以前であれば人事事案などは無条件に同意するのが暗黙の合意事項だったんだけどそれが昨今は世の風潮に押されて質疑が入るようになった。議案書に記されたのは氏名、住所、略歴のみで顔すら知らん訳であるし、それだけで判断せいというのは確かに酷というもの。

さりとて、既に本人の内諾もいただいて(氏名が記された)議案書も配布された後にコイツはダメだなどとちゃぶ台をひっくり返すようなことがあっては下手な確執の原因になりかねず。以前なんぞはそれなりの幹部が各会派、というか「主要」会派の団長位には根回しをされていたとか。そもそもに信頼関係なのだから「いい人材だからよろしく頼む」とそのへんさりげなく伝えておけばまるく治まるはずなのだが...。「癒着」ってイヤな言葉だナ。

役所に議会局があるように巷でいう教育委員会ってのはあくまでも「事務局」であって、市長が推薦し、議会が同意をした教育委員が本市の教育行政を司る責務を負う。で、彼らへの支払いは「報酬」、つまりは肩書への対価にてその額は月額27万9千円。

ゆえに副業として...あっ、間違えた、そちらとは別な仕事(教授とか俳優とか)を有している方が大半を占める。たった6名なのだから少なくとも「市議並み」に報酬を上げた上でいい人材を登用し、そちらに専念してもらったほうが遥かに効果が期待できやしまいか。年間数回の会議が開催されるのにその出席回数が云々だなどとそんなことで評価すること自体が浅はかで役所的だと思うけど...。

いや、でも、そのへん片手間でやっていただいたほうが一部には好都合だったりもして。

(平成28年9月22日/2291回)

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2016年9月18日 (日)

白川郷

気まぐれな御仁の突然の電話に何ら義理はないものの、夜の一席を付き合うことになった。久方ぶりの対面に話題は多岐に及ぶ。大学時代の同級生なのだが、私以上の田舎の御出身にて話が夏の同窓会に及んだ。

二次会、三次会、更に...。ともに机を並べた教室の思い出は尽きずとも財布の中身は続く訳ではないから会費は3千円が限度。足が出た分は割り勘ならぬ押し付け合いですったもんだの挙句、田舎の身分に応じて...。パチンコ店のせがれが5(万円)、医者の御子息が3、そして、気まぐれな御仁が残りの1の負担となったものの不満な様子。そもそもに1ヶ月も休暇を取得して世界を漫遊するだけの金銭的な余裕があって、それもこれも彼らのおかげで今の地位に繋がっているのだから10を出してもバチは当たらんぞと諭した。

そんな当人は七大陸最高峰の制覇を四十代の目標に掲げて、この夏にはキリマンジャロの登頂を果たしたばかり。が、果たしたといってもそれは相当に悲惨なものだったらしく最後はシェルパに抱きかかえられての到達にもう二度とせぬとか。さりとて、未知の領域に挑戦したいとの欲望は捨てきれぬらしく、壮大な目標を撤回して転向する先は...フルマラソン。それでは私と変わらんではないか。今以て「何が面白いのか?」って聞かれるんだけど、そりゃやってみた人にしか分かんないものがあるんだよナ。

そうそう、「高低差1千m以上」の白山白川郷ウルトラマラソン50kmの完走を遂げた。御当地の白山比咩神社は霊峰白山を御神体山と仰ぐ全国白山神社の総本宮にて当日の開会式ではそちらの宮司による完走祈願の祓いが含まれる。前半戦は神様の御加護に守られた大自然に癒され、後半は合掌造りで有名な世界遺産「白川郷」を駆け抜ける贅沢なコースにて後は体力が続けば...。大会には2つのコース「極みの100km」と「悦びの50km」があって私以外の塾仲間3名は「極み」を選択。そちらは「悦び」の往復だけに1千mの高低差を二度繰り返す国内屈指の超絶ハードコースでスタートは朝4時(ちなみに「悦び」コースのスタートは7時)。

最近のマラソン大会は女性の参加者も多いせいか(今回は女性比率3割)、ファッション性が高い。その一因は大会のオリジナルTシャツ。一見そんなTシャツを着ているだけで何やら完走を遂げたかのように見えなくもないんだけど、そりゃあくまでも参加賞であって完走を遂げずともエントリー代だけ払えば入手可能。が、こちらのものだけは完走を遂げねば手に入らぬらしく、途中すれ違ったランナー、つまりは「極み」への出場者が着ていたその御当地Tシャツがカッコよくてね。100km13時間を10回クリアすると与えられる称号をサロマンブルーと呼ぶらしく、これで次回の挑戦は...。

そう、当日の夜にマラソン中のランナーをスズメバチが襲ったニュースが流れて、おらが後援会長からも心配の御電話をいただいたけどあれは隣の市の大会。こちらは幸か不幸か筋肉痛「のみ」にて一泊滞在の上、翌朝は始発「かがやき1号」で登庁。最近はまたそちらのほうが騒がしいけど自腹にてあしからず。

(平成28年9月18日/2290回)

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2016年9月14日 (水)

納税番付

あそこまで圧倒的なゲーム差ともなれば無条件に権利を与えられても異論は挟めそうにもないが、ファンの一人としてはGの優勝を見たくもあり。されど、逆転劇を許そうものなら25年ぶりの快挙に興奮冷めやらぬファンが暴徒化せぬものかなどと心配していて...。「よーいドン」で3位でもいいなどとは堕落の元凶で言語道断、即刻止めるべきだと某野球解説者。それにしても強すぎたナ、広島カープ。祝!優勝。

そんなプロ野球に今年から取り入れられた録画判定。あくまでも本塁上の危険防止なる名目だけど、「待った」となれば試合中断どころか、審判の絶対的な地位を揺るがしかねず。バレーボールの「チャレンジ」なんてのも然り、アヤを付けられるようで少なくとも彼らにとっては心地のいいものではないはず。でも、それが緊張感にも繋がったりもするからナ。

さて、相模原の事件を踏まえて市内の福祉施設向けの防犯講習会が行われたとか。「とか」ってのも別に後で聞いた訳ではなくちゃんと案内を受けたものの都合がつかず。せめてもと支援者からいただいた関連記事に目を通していたんだけどその中に施設の防犯カメラを巡る論説を見つけた。事前に設置された16台の防犯カメラは「結果的に」事件を防ぐことは出来なかったと。

防犯上の対策は抜かりなく、というのは当然にせよ大自然に未曾有があるように人の社会には常軌を逸した行動もある訳で果たしてどこまで防ぎきれるか、が、それ以上に警備強化が施設の閉鎖性に繋がり、監視社会云々とあった。個々のプライバシーに配慮せいってことなんだろうけど、ならば防犯カメラなど無意味と断言出来るか。

そんな波はこちらにも押し寄せる訳で今月末から本会議のみならず常任委員会も中継の対象になるそうで。そんなことをされては監視されてるようでかなわぬ。私の知らぬところで勝手に...と憤慨してみても既に決定事項とのことで不本意ながら従わせていただくことになった。が、そんな慣れぬことをすれば予期せぬ事も生じる訳で...。

陳情の審査の際には文章の朗読とともに氏名と住所を読み上げるのだが、それがそのまま中継されては不特定多数の目に触れることから実名と住所の公表は差し控えるべきではないかとの声。が、一方ではそもそもに提出時には氏名及び住所の記載義務がある訳でどこの誰兵衛かも公表出来ぬ匿名が如き陳情は一部の独善的な内容になりえぬかとの懸念。

そりゃ保護と公開など真逆の価値観を同時に追求しようとすればどこかに齟齬が生じるのは当然でそんな風潮にやれ法整備だなどと役人が下手に介入するとロクなことがない。その典型が民生委員による安否確認であって相手に責務を負わせながらも保有する情報は個人情報保護の立場から開示できないなどというのはまさに役所の勝手が過ぎる。

最近はめっきり姿を消した納税番付なども高額納税者には称賛の一方で、それだけあるなら一丁ダマしてやろうなとと不遜な輩が居ないとも限らず。で、そちらに繋がるんだろうけど振り子の針が振れ過ぎるのも。二兎を追うものは...なんてことわざもあったナ。

(平成28年9月14日/2289回)

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2016年9月10日 (土)

世捨て人

リオパラも開幕。地元のYさんに誘われて月1回の障害者と高齢者のスポーツ交流に御一緒させていただいているんだけど、前日から降り続く雨は止んでもグランドに残る水溜り。「さすがに今日は...」と半ばあきらめかけていた矢先に視覚障害者のTさんが介助者とともに顔を見せた。「今日はやらないんですか?」。ここ何度か御一緒させていただいているんだけど、いつも前向きで積極的なその姿勢に教わることは少なくない。

「悪銭身に付かず」とはよくいったものであぶく銭は消耗が早く、額に汗した金銭は裏切らない、などと勝手に信じていて...。「今日の夕飯はコレ」と、たったそれだけの投稿が一回ウン万円という芸能人ブログ。あのチャリティ番組の出演者などとてもノーギャラとは思えぬ訳でどうも好かん。地元の授産施設で売られている英字新聞を再利用したバックがお気に入りなんだけど1個10円。それが彼らの労働の対価、つまりは工賃なんだよナ。

「措置」などといわれると本人の意思を無視した隔離を連想しがちだが、措置から支援へと大きく転換を遂げた障害者施策。バリアフリーだ、ノーマライゼーションだなどと耳触りのいい言葉のみが聞こえてくるが、遅々として進まぬ受け皿を見れば単に安からぬ施設の費用を削減したい役所の都合ではないかと言われてもやむを得ないかも。そんな時代に翻弄され続けてきた現場の苦悩と葛藤はいかばかりか。

あごにひげを生やした世捨て人、いや、仙人のような格好の施設長は市の退職組にて当時から随分と世話になった。当人曰く、現役時は福祉全般を経験したがこちらが最もやりがいがある分野だと誇らしげに語るのだが、目が合うたびに施設の老朽化をこぼす。地元の篤志家が提供した広大な敷地に建設された川崎市授産学園。授産施設には珍しい天体望遠鏡は篤志家から寄贈いただいたものにて今もそちらの天文観測は大人気。障害者の居住棟こそかろうじて耐震基準を満たしているものの、管理棟などは補強が利かぬほどひどい状況にて施設内の道路などは地盤沈下と思しき亀裂が入り、地面と建物の間には数十センチの空洞が...。

障害者の授産を目的に作られた施設もはや35年、入所者の最高齢は80歳、「平均」年齢52歳だそうで。医療の進歩が長寿命化をもたらす一方で本来ならば入るべき介護老人施設が見当たらない。世捨て人、否、施設長の人生集大成?のその計画案には過去の学園設立までの経緯と今後の目指すべき将来像が描かれていて。中でも障害高齢者の為の施設の必要性はこの夏の予算要望ヒアリングを通じておらが会派内の合意形成が得られた項目の一つ。

川崎市ろう者協会の事務局長とのやりとりが記憶に残る。聴覚障害者のコミュニケーションは手話が必須にて一般の特別養護老人ホームなどの受入は当然のことながら難色を示されるのだとか。が、近年はそんな方々への支援の輪が広がりを見せ、数年前には専門的な施設の開設に結び付けた事例が埼玉県内にあるそうで。百聞は一見に如かずと早速に仕事の合間を見つけて現地を訪ねれば、アポなしにも関らず聴覚障害の施設長自らが手話通訳者を伴って迎えてくれた。

障害者施策に自治体の叡智が見てとれる。

(平成28年9月10日/2288回)

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2016年9月 6日 (火)

一両損

それほど理不尽な要求はないエリア(のはず)なんだけど閑静な住宅街の玄関先に貼られたシール。さすがに文面こそ工夫されているものの、似つかわしくないシールに断固たる決意が窺い知れる。良好な住環境を守る為に...との汗と涙の結晶を反故にするかのような開発に住民から「待った」がかかった。

戸建て10軒の開発計画において1区画あたりの面積が基準の坪数を下回ることから最低面積を確保した上で開発を進めるようにというのがその言い分。が、1区画の面積を増やすとなると逆に全体の区画数は減らさねばならず、駅近物件なことも災いしてか...。そんな合意など知らず今さら変更出来ぬと聞く耳持たぬ相手。それが地元を良く知るはずの大手M不動産の関連会社なもんだから余計に憤懣やるかたない様子にて市議会宛の陳情が届いた。

開発絡みは最終的な許認可権を有する市が断然に優位な立場にあるものの、相手方に法的な瑕疵、つまりは違法性が無い限り、不用意に許可を遅らせれば逆に訴えられかねず。今回の住民合意はあくまでも法的拘束を有さぬ紳士協定というのが市が伝家の宝刀を抜けぬ理由であくまでも道義的責任をタテに業者側に見直しを迫るのだが、相手も相手でそのへんの事情をよく知るだけに手続きを着々と進めて外堀を埋めていく。

昨今はドブ板が如く白黒で判断出来るもの以上に様々な事情が複雑に絡み合った案件が少なくない。そのへんどう折り合いをつけるかってのは机上の知識以外に相手との信頼関係も大事なんだけど、不必要に騒ぎを大きくする連中というのはどこにでもいるもので当事者でないことをいいことに「私だったら許可しない」などと正義のヒーローを気取られたりもするから...。

私が逆の立場なら憤慨するけど役所もそんなセンセイ方相手によくガマンしてるよナと。されど、市とて「合意を知りつつ」事前協議に応じていた訳でその過程において相手に何らかの譲歩は迫れたはずだからそのへんキツく言い含めておいたけど。

さて、9月定例会が開幕。今回の議案には小児医療費の助成年齢の拡大が含まれる。一般的には就学前は2割、小学生以上は大人同様3割負担ながらも各自治体で「独自の」助成がされていて、その格差がことさら大きく取り上げられる。そんなことからこのたびの議案では小3までだった対象年齢を小6まで拡大した上で小4~6の利用者には一部負担(5百円)を求める内容なんだけど市長の公約には「無料化」が謳われているだけにやれ公約違反だとか負担は許せんとか。

それこそ三方一両損の折衷案であって従来よりも自己負担が軽減されるはずなのだが、不都合な事実は隠されるから何か新たな負担を課せられるかのような論調というか世論誘導はさすがに慎むべきではないかと思うけど。さりとて、そんなくだらん矢面に立つ市長も本来は国が負担すべきものを市が負担しているんだなどと胸を張ってみるが、国からすればそちら(=自治体側)の勝手な判断で支出している訳であるし、当人の腹中には次回の選挙の「票」なんてのも少なからずある訳で、さすがにそりゃ些か虫が良すぎやしまいかと思えてしまうのだが...。

余計なことは言わぬに限る。

(平成28年9月6日/2287回)

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2016年9月 2日 (金)

シンフロ

帰宅途中の車中ラジオでプロ野球の実況解説を聞いた。ゲストはノムさんこと野村克也監督。定評ある同氏の解説に気付かされる采配の妙。「快適な冷房の効いた室内でなぜ(本塁打を)50本打てんのか」などとキツい一言ながらも情けは人の為ならず、相手を思えばこそというものが伝わってくる。好きなんだなGが...いや、野球が。

大分県といえば別府に湯布院と日本一のおんせん県をアピールする為に考案されたのがこれ。そう、シンクロと風呂の造語だそうでその観光CMを見たんだけどこれが中々イケてる。私などは「主観」を含むジャッジが勝敗を左右するその手の種目はどうも好かんのだけど、リオでは見事に銅メダルを獲得したシンクロ女子代表。選手たちは勿論、陰の立役者は言わずと知れた鬼コーチ。その立った(というか立ち過ぎた)キャラが妻の目に留まったらしく、そちらの薦めで「シンクロの鬼と呼ばれて」(井村雅代著)を読んだ。

過去には敵国中国のヘッド(コーチ)に就任したことが物議を呼び、日本を捨てて敵国に渡るとは...との批判が殺到したことは記憶に新しいけど、そのへんの経緯も記されていて。前回のロンドン大会でその中国が銀メダルを獲得したことからまさにメダル請負人というか同氏の指導力が国内のみならず他国でも通用することを示す結果となった。学校の先生としての経験を有する同氏の教育論は一見の価値アリ。体罰はイカンがギリギリまで追い込むことでスッと道が開けることもあると。そうそう。

さて、各団体の予算要望に対する行政の回答が届いた。それをそのまま相手に伝えたのでは芸がない。回答に齟齬がないか、更なる改善は見込めないか、定例会や委員会ではどのように取り上げてきたのか等々、調査の上、そのへんを添えて提出するようにとの指示。で、何故か私の持ち分が異様に多く、そんな時「だけ」片っ端から担当者を呼び出して「これでは他会派と同じ回答で最大会派の意味がないぢゃないか」などと詰め寄るものの、本来であればこうではないのかと助言すべきなんだよナ。

そんな要望には入札絡みが少なくない。その(要望の)ほぼ全てが落札価格と参入障壁に収斂されるんだけど競争を通じてより安くいいものをとの本来の狙いも過ぎたるは及ばざるが如しで青色吐息の瀕死状態に追い討ちをかけるように市外や他業種からの参入が。そんな参入組とて任せてくれれば既存組に劣らぬ仕事を...との言い分なだけに。で、守勢に回る既存組が編み出したのが総合評価方式なる手法。価格のみならずあくまでも「総合的な」判断を求めるところがミソで「主観」評価項目なる指標が設けられた。

その一例が本市と結ぶ災害協定。一朝有事の際には馳せ参じて市民の皆様の為に人命救助や災害復旧にあたるのだからその貢献度を斟酌すべきだと。さりとて、近年は災害時における市への協力体制は焦眉の急なだけにそちらの関係部署からしてみれば広く協力をいただく為にも認定の壁を低くして...と中には「些細な」手続きで結べるものもあったりして。確かに災害協定には違いないのだが、両者で履く下駄の高さが同じとはこれいかにと。

まぁそもそもに入札の為に(災害協定を)結ぶこと自体が本末転倒でそこに矛盾があるんだけど、それだけ必死ってことだから。

(平成28年9月2日/2286回)

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