矜持
百田尚樹さんの「永遠の0(ゼロ)」がすこぶる良かったもんだから、つい話題のベストセラー「海賊とよばれた男」を手にした。出光興産創業者の出光佐三の生涯を描いた作品。
人生には転機があるもの。丁稚奉公からのし上がった彼の転機は日田重太郎との出会い。日田は淡路島の資産家だが、佐三のことがよほど気に入ったのか京都の別荘を売却して創業資金を工面、「貸したカネは忘れろ」の格言が如く6千円もの大金を「あげた」。
尚且つ、「(このことは)他人には話すな」と言われた佐三は人に恩を着せない陰徳のあり方を学んだという。その期待に応えた佐三も立派だが、25歳の青年の将来を見抜いた日田重太郎の眼力もスゴいではないか。
さて、「先生と言われるほどにバカではない」と、あるセンセイが言ったとか(笑)。今日はおらがセンセイの話題から。第一線を退かれたとは申せ、市の会合にも顔を出す機会もあって、同席する昔の同僚諸氏(=ベテラン市議)との話に花が咲く。
話題は勿論...ゴルフ。カネと時間に余裕がなければ出来ないし、「贅沢」とのイメージが強いから他人様の視線を気にしがち。ってことは議員センセイには最も縁遠いスポーツに見えなくもないが、どこ吹く風とラウンドが企画されることになる。
その人から言われると不思議と断れないという方はいるものであって、おらがセンセイもその一人。年に何度かの御供をすることになるのだが、そんな日は朝5時に起床して仕事を片付けることになる。「人生においては沢山思い出を作ることが重要」と述べるおらがセンセイだが、GW中も最高の天気に恵まれて心地よいラウンドを終えた。
さて、ネット選挙解禁となる夏の参院選。何かの番組でベテラン議員がiPadを片手に苦戦する姿を拝見した。若手であれば違和感もないのだろうが、ベテランともなれば若手や秘書に委ねるとか工夫の仕方は幾らでもあるだろうし、そんなことに時間を費やさずとも別な存在意義があるのではないか。時代の趨勢とはいえども、猫背になりながらひとさし指一本で画面を叩く姿は決して格好のいいものではない。
その後は塾生がどうなったかは知らぬが、維新の政治塾にあれだけの若者が殺到する理由は維新人気というよりも政治への意欲の現われ。中には就職先として政治家を夢見ている方もいるようで...。そんな新人に押されてか、ベテラン議員が退いていくのは寂しいもの。
少なくとも大なり小なり有権者の支持を集めた訳だから何らかの魅力があるはず。政治の第一線は退けども御意見番としての役割に期待がかかるし、現職であっても威厳というか矜持位は保って欲しいと思うのだが...。
(平成25年4月30日/1373回)
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