認知症カフェ
私がその会合に顔を出したのは数年前。既に何年もの付き合いだったのだが、そんな悩みを抱えているとは露程も知り得なかった。
かつては精神分裂症と呼ばれていた精神疾患である統合失調症の家族の方々の座談会。内容が内容だけに誰にでも相談できる類のものではないし、家に閉じこもって心配ばかりしていても本人の気が滅入るだけ。自らの悩みを吐露することで多少なりとも気分が癒される。当事者にしか分かりえぬ涙ぐましい苦労があって、壮絶な生活実態と家族の苦労を窺い知る機会となった。
昔は「ボケ」で片付けられていたものの医学の進歩に伴い、その原因が解明されつつある認知症。若年性や潜在的な方々も含めると300万人との推計もあって、発症前の段階においていかに予防していくか、発症後はいかに進行を遅らせるか、そして、家族の負担をいかに軽減していくかが課題となる。
厚労省が作った「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」には来年度から(っていっても明日からだけど)認知症患者と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加集う場として「認知症カフェ」の普及が位置づけられた。「認知症カフェ」なんていっても当人はその認識すらないのだから「私をボケ老人扱いするな」と固辞される可能性もあるし、多くの難題を抱えての船出が予想される。
そんな中、自らが企画・立案、そして何よりも実行した当人の行動力には恐れ入るが、バッチがしゃしゃり出て、「また票の為か...」などと言われるのも心外だし、こちらが目指すのは目先の票じゃなくて、将来の票、いや、万人の救済なんだから(笑)。
と、そのカフェに顔を出したのだが、以前の統合失調症の家族の場面と重なった。でも、当時の会合と違うのは当事者がその場に居るのである。「私は介護でこれだけ苦労している」なんて言えば当事者には心の負担になる。さりとて、せっかく参加されているのだから多少の収穫がなければ意味がない。
当日は介護の中核を担う地元の包括支援センターから専門員が顔を出してくれた。同じ認知症の中でも幾つかに分類されるから服用薬も対処方法も異なる。だから専門医の診断が必要であって、現在、市としても専門医療の提供などを行う認知症疾患医療センターとして市内の2病院を指定するなど諸々の取り組みを進めているが、いかんせん緒に就いたばかり。それがかかりつけ医と専門医療の連携のみならず、医療情報が現場に届きにくい実状などを伺った。わが会派が推進する医療と介護の連携が今後のカギになりそうだ。
家に閉じこもっている方々やこういう機会を知らない方の為にとチラシを配布したらしいのだが、歳も歳だし、わざわざ行くのは億劫だとなりがち。
だけれども「行けば何かいいことあるかも...」とここまで来られたみなさんは気持ちが若いんですよと一席ぶったのだが、ニコッと笑われたみなさんの表情が何とも素敵ではないか。
(平成25年3月31日/1343回)
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