生殺与奪
同じ区なのだが、この人の質問は奥が深い上に専門用語が飛び交うからいつも頭をフル回転していなければならない。こういう質問こそまさに決算審査であって玄人ウケするのは必至。あとはどこまで有権者にウケるか(笑)。
本市は一般会計以外に6つの企業会計と13の特別会計を有しているが、質問は一般会計に集中しやすいのだが、今回は企業会計の病院事業会計について取り上げた。詳細は本人のブログhttp://blog.goo.ne.jp/osakuhitoshi/e/b046181706f953806a6e445cb4a2fc0cに詳しいが、以下、独断と偏見に基づく要約となる。
本来、独立採算が原則なのだが、一部の会計には一般会計からの繰入が行われていて、こと病院事業会計には毎年約70億円(平成23年度は73億円)が繰入られている。それらが一概にイカンとは言うつもりはないのだが、やはり赤字補てん的なものは無いに越したことはない。
しかも、平成26年度から新会計基準への移行が予定されていて、退職金給付引当金の計上やら未処理欠損金やらを加味すると多額の債務超過の実態があらわになるのだそうだ。実は、本市の看護師と事務職の人件費が他都市に比べ割高なのだが、その理由を尋ねている。
給与体系は市の勤務体系に準拠しつつも、年齢構成や特別手当等により高額になっているというのが回答であって、それに異論は無いのだが、患者の生殺与奪を握るだけにそこにメスを入れた途端、まさか...。そんな倫理観に欠ける看護師は居ないと信じているが、暗部に目をつむる訳にはいかぬと指摘した本人の姿勢は十分な評価に値する。
さて、話は変わるが、バブル期の土地購入。「財源を確保するには議会の承認も含めて1年かかる。でも、1年も待ったのでは地価は跳ね上がってしまうし、何とかならぬか」-「じゃあ、とりあえず出資法人に購入させて後清算にしよう」と。土地開発公社はバブルによって必然的に生み出された法人である。
スケールは違うが、同じようなことでジレンマを抱えているのが、緑地保全制度。本来であれば地権者に保全を促すような仕組みを模索しているのだが、地権者とて訳ありのこともあったりして...「そこまで言うなら買い取ってくれよ」と。が、財源を用意するとなるとやはり時間がかかるし、タイムリーかつ柔軟に対応できぬものかという質問。
質問の中で、王禅寺地区の代表が当時の科学技術庁長官、若かりし中曽根康弘氏に会いに行く逸話が登場するのだが、それは故人となられた本人の親父さん。そんな当時の苦労が伝わってくる質問であった。
最終日ともなると疲れ気味。周囲に気を遣ってか早目に切り上げたのが廣田健一氏(多摩区)。区内の長沢地区における平瀬川支川の改修工事、商店街の課題解決事業、給食の献立における地産地消の取り組みとバランスよく取り上げた。
(平成24年9月30日/1162回)
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