路上尋問
一時的なブームは収束したにしても昨日も登場した放射線量測定器ガイガーカウンター。目に見えないものだけに不安は募る。仮に現地でその姿を見れば、圏内に生活せざるを得ない人にとっては複雑な心境のはずではないかと。。。それにしても先輩が5万円で購入したとされるカウンターはすぐに故障してしまったらしい。勿論、あの国の製品である。
閑話休題。さてと昼食は何にしようか。南相馬市内の食べログのランキングではラーメン店が上位を独占するが、そのへんはやはり土地の人が詳しい。聞けば、「かしま福幸商店街」というのがあるらしく、その商店街にある「双葉食堂」に。
やはりラーメン店なのだが、お薦めのもやしラーメンを注文。確かに旨いことには旨いのだが、何となく麺類では物足りぬ。(自称)食通としては郷土料理を含む定食を試したいのであって、地元野菜を利用した「かしま定食」なんてのがあるといいかもしれぬ。
その後は小高地区の警戒区域設定による立入禁止地点まで南下、全面通行止めの標識とともに複数の警察官が立っていて、路上尋問を受ける。「川崎市議4名到着、現地の様子を見に来た模様」とレシーバーでのやり取りが聞こえる。勿論、こちらとて警察官への事情聴取は怠りない。10km圏もカウンターの数値は0.25。途中にあったホットスポットのほうがはるかに高い。
その後は進路を海沿いに変更して状況を視察した。地盤沈下か、既に1年も経っているのに潮が引いていない。道が途中で水中に消えていて、未だ車が田んぼに野ざらしになっている悲惨な光景を目の当たりにした。
アポなしだが、南相馬市役所を訪問。そんな時しかバッチを付けないのだが(笑)、受付も丁重に対応していただき、農業水産課をご紹介いただいた。合併後の人口は約7万1千人、2万2千世帯のうち農家戸数はおよそ4千世帯。最近でこそ避難先からの帰郷により多少の人口増が見られるものの、当時は4万4千人まで減少したのだそうで、市の職員の早期退職も多かったという。でも、深刻だったのはやはり病院。市長の著書にもあったが、医師と看護士の不足には随分と悩まされたという。
そして、肝心の農業被害だが、以前より区画整理によって干拓地に集約化してある程度まとまった水田区域を確保していたのだが、前述の通り、海沿いの地区はほぼ壊滅状態。他の耕作放棄地についても津波による塩害というよりも風評から作っても売れないとそのままの状態になっている様子。
市内農家の約7割がコメ農家であって、そのコメがほぼ全滅ということは少なく見積もっても7割以上の落ち込み。東電は水田10アールあたり年間5万9千円の補償をしてくれるそうだが、通常の出荷額の約6割程度か。津波被害地域に太陽光エネルギー等を図っていくいうが現状を見れば前途は多難。突然の訪問にも関わらず懇切丁寧に対応してくれて、あっという間に1時間以上も話し込んでしまった。
帰りにはわれらが農協、JAの直売所「旬の広場」に立ち寄り、帰路についたのだが、郊外にある大型パチンコ店の車の多さが目に付いた。
(平成24年7月15日/1085回)
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