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2012年4月30日 (月)

ボストン・ドライバー

米国の北東部に位置する都市ボストン。その歴史は古く、建国ゆかりの地でもあるボストンには当時を偲ぶ名所旧跡が数多くあり、MIT(マサチューセッツ工科大学)をはじめ多くの名門大学や研究機関、医療施設が集中する世界でも有数の学術・文化都市でもある。

また、歴史情緒あふれる美しい街並みが物語るように国内でもトップクラスの経済水準を誇る一方で、ボストンのタクシー運転手「ボストン・ドライバー」は乱暴な運転手の代名詞になっている。

ある日の出来事だが、そんなボストンを舞台にしたマラソン大会「ボストン・マラソン」の出場報告に聞き入っていた。今年で116回を迎える歴史ある大会。内陸から東海岸を目指すそのコースは高低差が1百メートル以上もあって、比較的直線的なだけに記録が出やすいのだという。

「ボストンの町も落ち着いたとてもきれいな町でした。川沿いの公園はモクレンや桜やカイドウなどの花が満開で、リスも跳ね回っていて、そこでのジョギングや散歩は最高でした」との報告に昔を思い出していた。

以前の会社がボストンを州都とするマサチューセッツ州の郊外にあって、研修で数日間の滞在をしていたある日。睡眠前にメールを確認していると一通の英文メールが目に留まった。世界でバックパッカーを続ける友人がボストンに居るというではないか。

当時は今ほど連絡手段が発達していなかったからパソコンのメールと固定電話のみしかなく、部屋のパソコンから英文で返事を書いた。「ボストンの市街地から約30km離れた郊外に滞在中。明日の夜にめしでも食おう。昼間は研修で缶詰状態だからOKであればホテルにメッセージを残してくれ」とそんな内容だったと思う。

「夜7時の電車にて次の目的地に移動予定。ボストン駅で待つ」。

そんなメッセージを聞いたのは長丁場の研修を終えた午後6時。シャワーも浴びずに部屋を飛び出した。ホテルのフロントにタクシーを呼んでもらうのだが、いかんせん郊外だけに時間がかかる。ようやくタクシーに乗り込み、ボストン駅に向かう。

出発時刻まであと40分しかない。ボストン・ドライバーなんだから急いでくれと運転手を急かした。その甲斐あってか到着は20分前。ボストン駅構内は広い。最終的には電車の乗車口で待てばいいのだが、構内のどこかにいるはずである。広い構内を走り回ってようやく再会を果たした。

まさにドラマになりそうなワンシーン。ガッチリと握手を交わし、相手の旅の無事を祈りつつ、電車を見送った。そんな友人との関係は今も続いている。

(平成24年4月30日/1009回)

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