権威
人間国宝の講談師、一龍斎貞水氏の著書「心を揺さぶる話し方」によれば、共感を得るのは成功の美談よりも失敗談らしい。
今日はその失敗談から。。。私の若かりし頃の回顧録である。
私の大学時代の専攻は「数学」。理系なのだが、試験管は爆発が怖い。数学は紙と鉛筆で事足りるという話。その後は、大企業への就職を望んだのだが、就職氷河期でなすすべなく、担当教授の言われるままにある外資系企業へ。
面接に行ったのだが、見事選考洩れ。私は何とも思っていなかったのだが、怒ったのは担当教授。氏名は稲富彬というのだが、今以って下の名前は読めない。(まさかこのブログは見てないよな)
もういい歳なのだが、すごい剣幕で怒っている。「あんな優秀な学生を採用しないとは何事だ」。 (優秀だったら採用されるのだが。。。)
お情け頂戴ではないが、再度、会社を訪問するというのは、みっともない。
しかし、先生の顔を立てる為にも渋々と訪問し、社長面接に。「今までエンジニアでの採用を予定していたのだが、営業をやってみないか」との言葉。恥を忍んでの就職である。
その稲富先生、私の初陣の時に駆けつけた。異色の応援弁士である。いかにも大学の教授という先生という雰囲気があって、既に退職されていたのだが、熱弁をふるっていかれた。ご隠居の身だが、今も御手紙をいただく。
大学の先生というのは権威がある。権威を利用するというのは大衆心理学における有効な手段であって、R.チャルディーニ「影響力の武器」にも「権威」という1章が割かれている。
であるから、審議会や諮問委員会などの座長は大学の先生と相場が決まっていて、そんな偉い先生が出した結論にいちゃもんをつけるなということらしい。
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