空飛ぶ繊維
旅客機は鉄で作られているのかと思いきや、最新鋭の旅客機は機体重量の半分以上を炭素繊維複合材なるものが占めているのだそうだ。宇宙開発に携わっていた方から話を伺ったのだが、やはり当時からアルミ合金かチタン、カーボン素材も多く取り入れられていたらしい。
雑誌「選択」11月号に「繊維vs鉄鋼の『最先端素材戦争』」との記事を目にする。
炭素繊維素材は鉄に比べて、重さが4分の1、強度は鉄の3~10倍とのこと。原材料の高騰が懸念される鉄鋼業界だが、追い討ちをかけるように、金属よりも軽くて強い素材が登場するとなれば死活問題に繋がりかねない。
あの繊維が鉄を追い越すというのだから科学の力というのはすごい。
今までは国産自動車メーカーに牽引されて鉄鋼をはじめとする素材メーカーもシェアを伸ばしてきたが、異業種参入により垣根を越えた素材間競争が始まる。鉄鋼メーカーがどう出るか注目。
さて、今年のノーベル化学賞は日本人の鈴木章氏と根岸英一氏が受賞されたことは記憶に新しい。クロスカップリング技術なるものが評価された結果だが、有機合成化学は日本のお家芸。受賞者によれば当時は最も意欲ある若者が化学分野に集ったという。
この分野では国際的にも東レや帝人などの国内メーカーが優位であって、根岸英一氏も帝人の出身とのこと。お二人に野依良治氏を加えた3人の対談記事を読むが、自ら歩んだ研究生活を振り返り、
「日本が発展するためにも、科学技術を支える若者らに世界を舞台に羽ばたいて欲しい。いつの日か日本で学んだ外国人がノーベル賞を受賞する。それが真の科学立国だと思うし、その日が来て欲しいと願っている」と未来ある若者にメッセージを送る。
若者に響くか。
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