日本人のための科学論(毛利衛著)~前編~
タイトルとは関係が薄いのだが、クラシックを聴くときに、コンサートの入場時に渡されるプログラムに毎回必ず目を通す。
その作曲家がどういう人生を辿ったのか、その曲がどういう背景の下に描かれたものなのか興味深い。
私の好きなブラームス交響曲第1番は、当時、ベートーヴェンという偉大な作曲家が交響曲第9番を世に送り出して、喝采を浴びた中に、ブラームスが自らの青春を作曲活動に捧げ、苦悩に苦悩を重ねた作品。作曲に20年を費やし、完成時にブラームスは43歳であった。
さて、ノーベル化学賞受賞者の根岸英一氏が凱旋帰国。大和市の母校、大和小学校を訪れた様子を拝見した。私には雲の上の存在だが、本人にとっては、ノーベル賞受賞の前後で人生がガラっと変わったのではなかろうか。
私なんぞも平凡な(いや、そんなことはない!)サラリーマンから政治家への転身を図ったが、それで何が変わったと言われれば、「翌日からの役所の対応」とは笑い話ならぬ実話である。
閑話休題。
宇宙飛行士の毛利衛氏の著書「日本人のための科学論」を読んだ。
研究者は地味な仕事であって、その中の一握りしか世の中の注目を浴びない。ノーベル賞と紙一重の研究をしている人は大勢いる。研究者の成果ばかりではなく彼らの研究への姿勢や生き方を社会と結ぶコミュニケーション活動を行ってきたという。
むしろ雲の上にならぬ人のほうが、失敗談もあったりして案外共感を呼びやすい。なんびとの話とて人生訓にすべきである。
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