なおログ[Blog]

2017年9月23日 (土)

伝書鳩

山中で遭難した際の対処法について記せとの設問。親の意向で中学受験したものの役に立たぬ学校の知識。動揺隠せず無回答のまま制限を迎えた。忸怩たる想いに恥を忍んで隣の生徒に聞けば伝書鳩云々と教えてくれたとか。

続く選考は保護者面接、親は子の鏡、逆か。親を見れば子が分かる、なんてのは表向きの理由で立派な理念を謳いながらも積む金額の多寡が合否を左右するとあっては玄関の胸像が泣くってもんで。金銭に糸目付けぬ親にてにわかに信じがたいが不合格の理由はやはり伝書鳩?。そう、私ならぬ妻の話。

私立ゆえ勝手と言われればそれまでなんだけどあくまでも義務教育課程なのだから学習指導要領の延長上で優劣が競われるべきも技巧を凝らした変わり種の設問の為だけに詰め込まれる知識。その存在こそ否定せぬものの、それはあくまでも学校の授業の補完もしくは応用に留めるべきであって、逸脱著しくそこに塾の意義を持たせては金銭目当ての共謀と言われても...。

ならば公立はどうか。髪を染めた小学生、教師を「おい」呼ばわりの生徒、不登校すら権利などという屁理屈が横行し、出席日数が足りずとも手渡される卒業証書、義務教育課程なのだから最低限の知識なくば渡さぬ位の厳しさがなければ本人の為にならん。んなことをしとるから(卒業証書の)年月日を西暦にしてくれなどと言われて応じる一方で、他の案件では全ての保護者の同意を得るのが困難だから実現は出来ぬなどと支離滅裂な答弁がまかり通る訳で...。そう、今定例会のあの答弁だけはどう転んでも腑に落ちぬ。

そう、少し前に地元のN代議士の国政報告会に顔を出したんだけど、当人も何かと話題の多い当選二回生。議席などは当選回数、その後は五十音順になるから当人の左右は不倫に暴言と世を騒がせた二人だそうで、支援者の方々は人がいいから間に挟まれて気を付けてねと庇う気遣いを見せるも、もしや貴殿こそが疫病神ではないのか、なんて口を滑らせて...冗談が過ぎた。

それにしても謝罪会見後も冷めぬ口撃、詳細を見ればその言動こそ稚拙ながらも政治家の姿勢としては至極全うな一面もありそうで、地元の評判は意外にも上々とか。本人を知り得ればもう少し擁護というか人物評でも申し上げられるのだけれども、その一事を以て全ての人格が否定されるものでもなく。泣き崩れる表情を公共の電波に乗せて喜ぶ面々。その一言に対するコメントを禿頭の当事者に求めるべくニヤリ顔で水を向けるその姿勢こそ稚拙というかより陰湿であって、エラそうなことを言えた義理ではない。

あれだけの醜態を晒してなお執拗に浴びせられる言葉にどれほど精神的に追い詰められるか、当人に人の機微など分かるはずもなく。顔と実名を伏せて放たれる二の矢、三の矢に相手が苦悶する表情を見て快感を覚えているとすればそれこそが何とも寂しい性格ではないか。金銭か知名度か、視聴率の為に踊らされたと気付くも時既に遅し。そこで失った社会的信用は代議士の比ではない。

(平成29年9月23日/2380回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年9月19日 (火)

目安箱

本会議場の中央にこれ見よがしに用意された分厚い資料の山。開会宣言とともにそれを自由に閲覧した上で疑義があれば理事者を呼んで...。

そんな議案研究と称する数日を挟んで臨む委員会の答弁者は本会議に同じく局長級。さりとて、局長相手ではより細部まで聞くに不足。よって局内の課長級が出席する分科会での「集中的な」質疑を踏まえた上で本会議場において市長と局長相手に総括質疑を行えば体裁がいいのではないか、確かそんな経緯だったと記憶する決算審査特別委員会の変遷。

ゆえに自ら答弁に立たねばならぬ課長級は必死。センセイの機嫌を損ねぬように御用聞きに徹する担当者に追い回される優越感。が、待てど暮らせど私の元には一向に姿を見せぬのはいかなる理由か。常任委員会の委員長が必然的に分科会の座長を兼務、が、座長ってのは行司役にしかなり得ぬ訳でそれを知ってか誰も来やしない。

「他の委員からこんな厳しい質問が出そうなのですが、どう対処すれば...」なんて相談でもあれば「オレに任せておけ。取り下げさせる」位の対応は...出来もせんナ。日頃は委員長などとおだてておいてなんて薄情なヤツらなんだ、と憤ってみても聞く耳なく。が、そんなふてくされる態度を見かねてか一通の手紙を携えて委員会の執事役がやってきた。

広く市民の声を拝聴することを目的に設けられた議会宛の御意見箱への投書にて議長の指示で委員長にと。回答の責務なく、あくまでも「聞きおく」程度のものなんだけど、手元にて見てしまった以上は放っておく訳にもいかず、「早速に」対応を指示して完了報告を受けた。そう、御意見箱といえば...。

およそ期数を重ねると傲慢になってくるもので顔が名刺とばかりに持ち合わせなく、ならばホームページの御意見箱から送っておくゆえ善処頼むと別れてからはや一ヶ月。いや、待てよ、最近というかここ一年以上そちらのメールは見てないナ。やはり...というか案の定、システム不具合にてメールが届かぬのも無理からぬ話。粗相を相手に詫びねばと連絡を取ろうにも向こうからメールが届かぬ以上は為す術なく。

相手はYストアの配達員で当方の事務所に届けて下さる担当ゆえ事務員ならばと聞けば顔は浮かぶも連絡先まではさすがに知り得ぬと。が、その後に機転を利かせてくれた結果、ようやく本人と繋がった。会社の定年退職後、退屈していた折に広告を見つけて応募、採用されて十年間、配達員をされているそうなんだけど、日々の配達の際に気になる危険箇所があってそのへんの改善を、と具体的な箇所と状況が綴られていて。

それがかなりの長文ながらも分かりやすい文章にて本人の性格が窺い知れるんだけど、72歳の方が鍵盤を叩くというのは随分と手間な訳で...。末尾には今回メールをされた経緯が記されていて、当人の人生は各地を転々としたものであったそうなんだけどその土地土地で自民党のセンセイを応援され、御当地に移り住んでからは私とN代議士を夫婦で応援していると。

気になるその理由に「明確な理由は定かで無い」とあるものの、およそ信じて応援し続けて下さったそんな方々の支援こそ大事にしたいものではないかと。

(平成29年9月19日/2379回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年9月15日 (金)

採用枠

うだつ上がらぬ今と違って古巣ではそれなりの数字を残してきたはずなんだけど、前職時代のE兄から今こそ天職などと言われて何とも複雑な気分。今以て当時の顧客と御一緒させていただくというのは冥利に尽きるもので、酒を酌み交わしつつ、昔話に花を咲かせ、「今日の勘定は私が...」なんて。勿論「私」は向こうだよ。

当時はシステム担当の主任だったMさんもその後は企画畑を進み、海外経験なども積まれて今は人事の課長職にて自ら採用枠を有する最終選考の面接官だとか。今の仕事こそ当落上で救われたものの新卒時などは父の勤務先すら不採用だった訳で就職の面接は私には鬼門。

こんな御時世に半人前の学生が内定を貰えたからにはその御恩は生涯忘れず会社ひいては社会の為に粉骨砕身...となるべきも折角の内示を断る事例も少なくないとか。が、それ以上に人事課といえば巷で騒がれる働き方改革ってのが至上命題だそうで。

そもそもに時間外勤務は断固許さんという労働者側の従来の言い分と渡りに船と余計な支出を減らしたい経営陣の意向、それに「改革」で実績を上げたい為政者側の都合が折り合った産物にて面と向かって異を唱えるもんではないけれどもそのへんの事情を知らず鵜呑みにしては逆に成長を阻害しかねず。

時にその残業代こそが貴重な財源として家計を潤わしてきた一方、それに対する上の寛容さが会社への忠誠心という見えない価値を生んでいた訳で劣悪な実態は是正されねばならんのは当然にせよ過ぎてはどうか。と、そのへんに人事の苦悩が...。

が、それ以上にやはり働かざる者食うべからず、家族の為に寸暇を惜しんで働いた勤労観こそが今の日本の地位たる所以であって、そこに日本人は働き過ぎて余暇が足りんなどと言われてもそりゃ価値観の押し売りというもんであって他国の嫉妬心に国益を損ねやしまいかと危惧してならず。

そう、兵站なくして軍事は語れず、モノの流れを見れば世の動きが分かる。物流こそが経済の根幹であって、鮨に代表される食文化に見るまでもなくその類稀なる国民性が育んだ物流システムは他国の追随を許さぬものながらも昨今などはその世界に冠たる物流が米国のIT企業に牛耳られてしまうとは何とも忸怩たるもので...。課長の在籍は誰もが知る一部上場の物流大手にてそんな業界動向も聞かせていただいた。

人工知能と訳されるAIなる語が巷を席巻し、消滅する可能性の高い職業とともに語られる未来像はおよそ当たらずとも想定しておいて損は無い訳で、仕事そのものが無くなっては元も子もなく。労使対立の隙に忍び寄る本当の脅威。

機械化が仕事を奪う、それは産業革命の際に危惧されたことだけど、紡績機の普及により労働力が節約されたものの、大量生産による製品の低廉化が実現、それが更なる需要と別な雇用拡大に繋がった。そのへんに淡い期待を寄せてみたりもするのだけれどもAIの技術進歩が描く未来やいかに。

そうそう、別な話に夢中になるあまり課長の採用枠に肝心の私の余剰分はあるのか確認するのを忘れてしまった。

(平成29年9月15日/2378回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2017年9月11日 (月)

顕微鏡

壇上にズラりと並ぶ来賓席。約二千人の保護者が出席するとあって大人数で押し寄せるもんだから紹介が大変。さすがに市長、議長は別格なれどいつもの順序で名を呼ばれるもんだから国会のセンセイなどはエラく見える訳でその優越感が勘違いの元凶だったりも。

が、その後に続く市議会とて60名もいる訳で全員は出席せぬにせよ半数は下らず。川崎区から始まって徐々に北上して最後に辺境の麻生区に到達する上にこちとら五十音順の「や」行ゆえ冷やかな視線の中...。川崎市幼稚園父母の会連合会の総会を終えた。

子は親の鏡。この夏に郷里に帰省した際に「孫より息子だ」と言葉を浴びせられたと帰りの車内で妻に聞いた。世渡り下手の子煩悩な母親ゆえ、親の心、子知らず、いや、逆なんだけど嫁とてそんな言動にいちいち目くじらを立てては寿命が縮むと慣れたもので...。

うちなんかはマスコミどころかマス「ゴミ」なんて呼ばれていましてね、ゴミ扱いですよと語る記者に「大変ですね」と同情を見せれば不意をつかれて「この報告書はコピペでしょ?」と。「い、いや...」と言葉が詰まる隙を見逃さず、「先生のような議員には活躍してもらいたいので」なんて手口に籠絡されて悪名が全国に知れ渡ったのは去年の話。

O記者といえばそちらの専門なんだけど、あれから一年、久々に昇降機の前で目が合って、「おっ、どうも」と声をかけたんだけれども足早に向こうのほうに姿を消した。「そういえば...」なんてこちらに来られても決して気分のいいものではないけれども叱られた教師ほど懐かしく思われるのと同様に不思議と親近感を抱いてしまうもので、「おい、たまには...」。いや、やめておこう。

ということで、ゴミの集積所にまつわる話を一つ。田畑の残る牧歌的なおらが村も昨今の都市化の波には勝てず。開発区域内に占有地を設ける責務があって、それを近隣に知らせた上で調整を図らねば許可は下りぬ仕組みもそんな汚れ役は誰かが負わねば世の中は回らぬ。

当該区域の中心から円を描けば蔵しかかからぬと大御所。そりゃ門から玄関まで遠い立派な御屋敷ってことで身勝手な御時世を憂慮しつつも甘んじて背負ってくれるものと思いきや。母屋は円外にて図面が届いていないことを期待したらしいんだけど、相手方にはちゃんと履歴が残っていて。

再び向き合った図面には場所が指定されているものの、その小さな文字は顕微鏡で見ねば分からんよナと同意を求められて...。それだけであればまだしも併せて進む裏の開発、それは自らの土地なんだけど集積所が勝手口の前になってしまった、というかならざるを得ない状況に悩みあぐねる大御所。

それにしても大御所の悩みとしては些か小さすぎやしまいかと情報網を巡らせれば知らぬ間に事が進んだ事情が身内にバレてしまったことが言葉少なめの理由らしく。ねずみはねこが怖く、ねこは犬が怖い。その犬は飼い主が怖いが、飼い主は家の壁をかじるネズミが怖かったなんて話があったけれども大御所も意外なところに...。

が、そんな時こそ日頃の恩に報いねばと秘策を講じて。

(平成29年9月11日/2377回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年9月 7日 (木)

加瀬山

恥を忍んで申し上げれば、当時は全くモテなかった、というか同性の友達が多くて異性まで回らんかったというのが勝手な言い分なんだけど、四十にしてモテ期到来か。いや、単に同年代の女子会に呼ばれただけなんだけど、いいオトコを紹介しろとかで、その手の相談も絶えず。独身男性であればまだしも余計な形容詞が付けばそりゃ個々の価値観ってもんで自らを横に置いてどこにそんな都合のいい白馬の王子様が...なんて説教も出来ず。異性に呼ばれるなんてのは所詮はそんなもんですよ。

出るわ出るわの不倫報道。古今東西、男女の仲なんてのは今に始まったものではなく、氷山の一角の水面が下がった、つまりはそれだけ話題性があって尾行される機会が多くなったって話で。為政者たるもの不貞はならぬ上に風紀を乱す言動は厳に慎むべしと、そりゃ御尤もなんだけど過ぎては言わねばならぬ時もある訳で。事情通に聞けば不倫報道に得をするのはモテぬ男だとか、こちとら初婚の相手もままならぬのに一人で二人も占有するとは許せんとの嫉妬心。が、選ぶ権利が相手にある以上は...。

そもそもにあの世界にいれば「清純派」なんてことはあるまいに違約金がどうだとか、要職での起用を見送るだとか、その一事を以て失格の烙印を押されては些か不憫な気がしないでもなく。さりとて、自らは棚に上げて数多くの相手を辞職に追い込んだ代償は小さくない。無言を貫く姿勢は言行不一致そのもので信用など出来るか。予め断っておくけど、私自身、夫婦仲睦まじく家父長制が理想という生粋の保守派論客なんだけど、昨今などは始終一緒にいるのが円満とは限らず、どこぞの家庭が如く居らぬほうが「双方に」好都合だったりもする訳で時に...いや、遁辞を弄して許されるものでもなさそうだナ。

さて、秋の定例会が開幕、代表質問の原稿に追われている。おいしいネタは他に譲っちゃうから残りもんしかないんだけど、与えられた命題の一つに夢見ヶ崎動物公園があって、その成長戦略を描けとか。平坦な地に突如盛り上がった小山は眺望よく築城に好都合。本来は加瀬山というのだけれども江戸城を設計したかの太田道灌が此の地で夢を見たことからその名が付いた由緒ある史跡。が、そんな御当人が見た夢は鷲に兜を去られる夢にて築城を断念した訳だから縁起でもないといえばそうかもしれぬが、城は似合わずとも動物園(いや、正確には動物「公園」)であれば吉に違いなく。が、そこで悪夢さえ見なければ天下の首都は...。

で、過去の会議録に目を通していたんだけど、動植物といえば今は亡き大御所のNセンセイにて専門的見地からその魅力と将来の展望を語っておられる質疑があって、目下、生態系を勉強中。家父長制が残るサルやチンパンジーの陰険性は知られたところだけど、同じ霊長類にアフリカ奥地に生息するボノボって動物がいて、多夫多妻というかそのヘンな性癖が特徴的なんだけど、これがものスゴく平和的なんだとか。ってことは一夫一妻も価値観の勝手な押し売りであって不倫も...。んな訳ないナ、御用心あれ。

(平成29年9月7日/2376回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年9月 3日 (日)

一線

逃げ得は許さぬ。そこまで追い詰めるんだろうナとは予想していたものの、それこそが当人なりの敗北宣言にて辞してなお、執拗に追い回すとは死者に鞭打つようでどうも好かん。あちらとて図に乗って一線を越えてしまった一面は否めないものの、逆もまた然りで、叩くほうとて一線を越えればイジメに同じ、人には好かれぬ。

過ちは誰にでもあるもの。その一事を以て彼の人生が否定されるものでもなく社会復帰が叶わぬ堕落者を生むよりも悔い改めた当人のその後を応援してあげるのが人の道だと思うけど。さすがにバッチへの復帰はキツそうだけど、早く平穏な生活を取り戻して欲しいと願っている。

さて、加熱する受験競争。親がカネで学歴を保証する過ぎた風潮は子の為にならんと信じてやまぬものの、学級内で塾に通っていないのはウチ位なものらしく...ほんとの話。全国学力テストの結果公表にひとまず安堵の本市だけど、私塾に負う面が多分にある以上は手放しで喜べるものでもなく。

そう、上位の常連として定着した秋田県。機を見るに敏、というか用意された行程に同行しただけなんだけど、そんな田舎に塾などあるはずもなく「田んぼしかない」と語る教育長。それでいて都会と十分に渡り合える...否、それ以上の好成績を残す背景には関係者の汗と涙がある訳で、その姿が資源無くとも人材を磨くことで世界に挑んだ国の姿に重なった。

昨今は部活動が先生の負担になる時代。昔であれば放課後学習に部活動と全ては子供たちの為にという滅私奉公の姿勢が先生の権威と信頼に繋がっていたはずも、教「師」が教「職員」に成り下がり労働者然となってしまったことが権威の低下とモンスターペアレントなるものの助長を招いた元凶などと勝手な持論を展開して意見交換を終えた。後悔先に立たずなんだけど、この御時世にあっていかに教え子を育て上げるか、教育者に課せられた責任重く。

どこぞで聞いたその名は筆名であって里見清一氏の医療コラムのファンなんだけど、最近のモノに若くして亡くなられた、あの乳癌の女性に関するものがあって、そこから医者と患者の関係を掘り下げた考察は一読に値。先生はそれを「契約」と「信託」という言葉で説明しておられるんだけど、昔の医者は、ろくに病気を治せもしないのに威張っていたが、その代わり、少なくとも建前としては「医は仁術」を掲げて患者の信託に応えようとしたと。

しかしながら医療の進歩に伴い、患者側も「人情味」以上に「医療の成功」を欲するようになり、それを最大化するように医療は発達し続け、その中で「心を込める」のが難しく、医者と患者は本来の「信託」から治療の成功を目的とする「契約」関係になった。満足度というのは期待値と実績の差で決まるのだそうで、患者が「賢く」なると同時に昔であれば絶望的とされた病気でさえも治るようになった。

ゆえに患者の期待値はどんどん上がる一方で、実績は期待値に追いつけず、結果、実績がいかに上がっても、満足度は低下していくという悪循環。今や病気は治って当然の時代になり、医者は「間違えてはならぬ」ところまで期待値が上がった。されど「絶対」はないと里見先生。

昨今の医療を巡る洞察が教育に重なりやしまいかと。そう、いづれもセンセイ絡みにて。

(平成29年9月3日/2375回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月30日 (水)

雄物川

バケツに水稲、住まいそのものが狭小な賃貸物件なもんだから庭の代わりにベランダ。水やりこそ欠かさなかったものの、成長鈍く、やはり御天道さまの恵みが必要と気づいて日当たり良好な共用スペースに。実るほど頭を垂れし稲穂かな、やはり穂が出ねば収穫は出来ん訳で見ぬまま夏休みを終えたとか。

日照に肥料、水も十分にて穂が出ぬ理由は...。考えあぐねる子らに教えた。人の営みに同じ、深夜も防犯灯で照らされては寝れんではないか。そう、以前、農協の青壮年部のK君が本市の推進する防犯灯のLED化は手放しで喜べぬと体験談を語っておられたけど、農作物の成長ひいては大自然の営みには暗い夜が必要と知っただけでも大きな収穫ではなかったか。

猛暑予想から一転、天候不順が続いた今夏。いつぞやの冷夏に米不足の記憶が脳裏をよぎるも見渡す限り黄金色の絨毯を見れば気は幾分か安らぐというもの。特急「いなほ」で羽越本線を北上すること3時間40分で秋田駅に到着。新潟-秋田間は直線距離にして220キロ。

東京-名古屋間の268キロは新幹線で1時間40分なのだからそれだけでも十分な格差なんだけど、朝の一本を逃せば次なる最短経路は大宮経由で約5時間。同じ日本海側の主要都市を移動するに首都圏経由とは何とも屈辱的ではないか。それにしても車窓からの景色は良かったナ。

さて、見物客が残すゴミがハンパなく中には金銭の類も少なくないそうでそれを目当てに翌朝の散策が悪ガキの日課だとか。九州北部地方が大きく取り沙汰されたものの、大自然の猛威は全国各地に及ぶ。過去に自然災害が比較的少ないと言われた秋田県でも今夏は記録的な雨量を観測。地元の悪ガキのみならず全国の花火師たちの晴れ舞台、大曲の花火で有名な雄物川及び支川が氾濫して甚大な被害を被った。

不幸中の幸いか人的な被害こそ少なかったものの報道に見られた高速道路を残しての冠水とあっては農作物への被害が心配。御当地出身のK本県議のはからいで横手市では市長自らが当時の状況を説明して下さったんだけど、河川の水位上昇には記録的な雨量が主な要因となるものの、それ以外に山間部の崩落による堆積物や流木が被害拡大を招いたそうで。

山中には他の木の成長を促す為に切り倒された間伐材が放置され、その背景には割安な輸入材の流通による林業経営の悪化から搬出の費用を賄いきれぬ事情があるとか。それでも横手市は上流にて浸水の範囲こそ広域に亘るものの水位はそれほどの上昇を見せなかったことから復旧は比較的早く大きな被害は下流の大仙市に。

現地を目で見ねばと指示されて向かった先は大仙市刈和野地区。そのへんの被害が顕著と聞いたものの、田んぼの稲穂も何ら変哲無く...。ようやく辿り着いた現場では橋梁の落下に道路の分断と一部に爪痕が残るもすぐ近くでは農作業に従事する土地の人。

集落名は字(あざ)高屋敷にてそんな高床の家屋とて浸水被害に後片付けをされている御宅を発見。およそ一時は車庫のシャッターの天井近くまで水位が上昇したのだそうで、当時の様子や教訓などを聞かせていただいた。

豪雪で慣れているせいか天災やむなしと寛容な姿勢を見せる被災地、秋田県にねんりんピックがやってくる。

(平成29年8月30日/2374回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月26日 (土)

四十年

慣れぬ戸別訪問。郵便受けに「ごくろうさま」なんてあればまだ見ぬ家主はさぞかし善人に違いないと淡い期待を抱く一方で、「チラシ投函禁止」とあらば呼び鈴どころかポスティングすら躊躇してしまったりもするんだけど隣を見ればさもありなんと。それは覗き見るというよりも自然と見えてしまう無造作に投函されたチラシの山。

そんな事情はおらが控室も同じ。単なる本棚に個人名のラベルを貼ったものが郵便受けに相当するんだけど情報提供の名目に積み上がる資料の中には研修会のチラシも少なくない。1講座あたり最低1万円からで一泊二日ともなれば片手(5万円)は下らず、政務活動費をアテにした企画らしくろくに見もせずにゴミ箱行きなんだけど、名刺に一筆を添えて郵便受けに投函する私の配布物も同じ命運だったりして...。

そう、公務ならずとも日に一回は勤務先に顔を出さねば落ち着かぬ、というか、それで仕事をした気になっているのだから始末に負えぬ。人はまばらにて気になる他の動向。この炎天下の中、戸別訪問なんて性分でもあるまいし、よもや夏休みに海外旅行など...。居合わせた御仁に夏の余暇の過ごし方を聞けば、全国指定都市問題研究会、つまりはおらが政党が実施する「無料の」勉強会への出席を予定しているとか。かと思えば若手は秋田県における記録的大雨の被災地を訪ねるとかで足手まといにならぬことを条件に両班に御一緒させていただくことになった。

新潟市で開催された勉強会の項目の一つに拉致被害現場等の視察が含まれる。新潟市といえば拉致被害者の横田めぐみさんが失踪を遂げて四十年。拉致問題といえば忘れもせぬが、翌日から市長以下、局長全員がブルーリボンを付けることになった発端は現議長の当時の質問。以来、大きな懸垂幕や写真展などを市内随所で開催、今やブルーリボンを付ける局長は稀だが、喉元過ぎればの格言が如く署名活動とて同じだとか。

その一筆がただちに帰国に繋がるものではないかもしれぬが、風化させてはならじと被害者家族に寄り添い活動を続ける方々。救う会代表の高橋正氏の案内により当時そのままの寄居中学校の正門からその足取りを辿った。部活動を終えて帰宅の途についた3人。御自宅までの距離はほんの数百メートル。緩やかな坂を上って友人と別れ、あの角を曲がれば...。彼女を襲った突然の悲劇、潮の流れか今や眼下に迫る海岸線も当時は遥か彼方まで砂浜が広がっていたそうで、まさか異国の誘拐犯が舟で上陸するなどとは。

これまで多くの方々の案内役を演じてきた当人は御齢81歳の元県議。既に退かれた身にて何ら見返りあるはずもなく、ただ、続けることが自らの使命と。そんな当人の話をじっと聞き入るセンセイ方の横を不思議と一人の女子中学生が通り過ぎた。多分誰もがその姿を当時に重ねたはずで深く刻まれる情景であった。

5名の帰国から主だった進展は見られず焦燥感募る家族会。さすがに寄る年並みには勝てず見かける機会の少なくなった横田御夫妻は本市在住。余生幾ばくかの両親に娘の姿を一度でもと願ってやまず。

(平成29年8月26日/2373回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月20日 (日)

ドラクエ

弥次喜多珍道中で有名な十返舎一九の東海道中膝栗毛。それをもじった「小田急道中謎栗毛」ってのがあるそうで乞われて子に付き合うことになった。新宿駅をふりだしに途中駅で隠された謎を解きながらあがりを目指す双六調のゲームにてズルが出来ぬようQRコードで指定されたページに回答を入力すると次の指示が表示される仕組み。

開業90周年記念の1日全線フリー乗車券が得だとかで、そちらを片手にかつてドラクエで鍛えた頭脳を駆使して順調に進み、昼から始めて夕刻にはあがりの小田原駅にて最後のカギを手に入れたもんだからあとは茶屋で一服しつつ...と箱根湯本に。

最後の敵を倒した後に真のボスキャラ登場ってのはRPGの定番なんだけどそんなのは昔の杵柄にて詰めの一手が甘すぎた。カギで開封後、そこに記された最後の謎を解いて目的地の宝箱を開けねば終幕は見れぬと。それが超難解な設問にて帰路の電車は終始無言。後日、出直しにて親の威厳も何とか保たれてひとまず安堵。

さて、秋の市長選。下された結論は「現職支持」。各団体が支持する理由は政策云々以上にそれだけ依存しているからであって、勝ち馬に乗る心理効果も働くからよほどの醜聞でもない限りはいつも現職が有利なのは動かず。が、向上心がなければ人は堕落する訳でその為にもその存在を脅かす対立候補があって切磋琢磨を重ねることで磨かれるもんだと信じてやまず。

名を売ってなんぼの世界、周囲が勝手に騒ぎ立ててくれるから宣伝効果は抜群。稟議書に添える相見積のようなものでどうせ選ばれぬのだから私「も」という選択肢が無かった訳ではないんだけど推薦人が見つからぬ上にやはり分不相応ではないか...どうせ選ばれぬと分かっていても肚は括れぬもの。

で、そんな相手に挑戦しようというのだからその意気やよし。いっぱしの大人が下した結論なのだからそんなに安かろうはずがないんだけど、「勝てるはずがない」とハナからそれを言ってはおしまいな訳で選挙に必勝なく。折角の同志の犬死はさせぬと諌めるのも親心、さりとて、下野する覚悟で乾坤一擲の勝負を挑めば惨敗にはならぬのは過去の歴史が物語る。

一方の現職とて刀を抜かれた訳でもないのにこちから斬りつけるには理に薄く、されど、敵前逃亡、全面降伏では名が廃る。主従関係はないのにどこまでも付いていきます下駄の雪では情けない。今回の現職支持の主な理由は「勝てる候補」だそうで、その結論に巷では媚びたとか阿ったとか揶揄する向きもあるらしいけど、近年の首長選において与党候補の敗北という結果のみをことさら騒ぎ立てる風潮が本来であれば政策で競われるべき選挙をつまらないものにしている側面はないか。高い視聴率と有権者の利害は必ずしも一致するとは限らん訳で。

そうそう、海向こうの話。資金面でも実績面でも圧倒的有利とされた予備選において苦戦を強いられたヒラリー・クリントン氏。相手候補が有権者を魅了した理由はどこにあるのか、番狂わせの立役者、バーニー・サンダース氏の自伝を研究材料にしているんだけどこの御仁も市長経験者にて参考になること少なくなく。

(平成29年8月20日/2372回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年8月16日 (水)

三国峠

贔屓の作家の新刊に三十年ぶりのクラス会の案内を聞いた主人公が当時の恩人へ御礼を言う為に出席を決意するシーンが登場するんだけど、私の学年も来年が卒後三十年だとかで早くも準備に余念がない。

こちらじゃいつも脇役なれど向こうに戻れば押しも押されもせぬ主役級な訳で。そこに生活実態が無いもんだから些か負い目を抱きつつも「乞われて」この夏二回目の帰省を終えた。何もその為だけにわざわざ...と倹約家の母の小言が聞こえてきそうで内緒で宿を探せば何処も彼処も満室ばかりかようやく見つけたビジネスホテルも数割増の料金は納得いかず。私はやんごとなき事情なれど盆は実家に泊まるんぢゃないのかと。

どうせなら「ついで」を見つけたくなるもので、シューズに着替えといつでも用意は怠らず、後は荷物を預けるロッカーとシャワーがあれば十分。となればやはり目の前に温泉が並ぶそちら。越後湯沢と三国峠の往復を目指したんだけどさすがに「ついで」には無謀が過ぎたか、雨にも降られて途中で折り返すことに...それでも随分走ったけど。

そう、当時などは東京といえばとんでもなく遠いところで特急「あさま」で半日以上、昼食は横川駅で峠の釜めしと。それが上野と新潟を結ぶ上越新幹線の開通に長岡経由になり、その後は越後湯沢と私の郷里の直江津を結ぶほくほく線が出来て更に近く。長野新幹線から北陸新幹線へと路線を伸ばしたものの上越妙高駅は随分手前なもんだからそこからは在来線。が、その本数が著しく少なく...。

同級会の下準備のはずが、卒業アルバム片手にアレコレと昔話に花が咲く。誰と誰の関係がどうだったとか、私の知り得ぬ恋バナに誰それの近況云々と。全八組もあれば消息不明も少なくなく、目撃情報が寄せられるも潜伏先までは掌握できず、手がかりはアルバム巻末の実家の連絡先のみ。およそそんな厄介な役回りは私の仕事らしく携帯片手に番号を押せば突然の電話に動揺する母親に後ろから「やめておけ」の父親の声。それでも受話器を置く間際にそっと近況だけは教えてくれた。

ヒロインのKさんなどは知らずと近くに居るらしく、いつぞやに私のポスターが話題になったと聞いて「随分勝手ぢゃないか」と詰め寄れば「向こうは高嶺の花ゆえ」と意味不明な回答。小学校以来のN君が料理の道に進んだというのは知ってはいたものの、今や気鋭のシェフとして都内で御活躍だとかで、こちらは機会を狙っているんだけど、当時はキャベツとレタスの違いも分からなかったぞと聞いて些か尻込み。

校内でも指折りの成績だったI君などは進学校から国立大、県庁へと何とも当人らしい順調な人生を歩んでいたらしいのだが、数年前に不祥事で懲戒免職になったとか。成績こそ劣らぬまでも当時から傲慢だった私も彼の日頃の姿勢に教わることも多く、あの性格を知るに何かよほどの事情があったとしか思えんけど、その後、消息が途絶えていると。

何かしらの負い目があると疎遠になりがち、されど、それを気にせぬのが机を並べた仲というものではないかと。

(平成29年8月16日/2371回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

| | コメント (0) | トラックバック (0)

«一景色

 
自民党
山崎なおふみは自民党の議員です
自民党ホームページへ
KAWASAKI CITY
山崎なおふみは川崎市の議員です
川崎市議会のページへ