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2018年8月20日 (月)

伊那

自らは棚に上げて御当地の方々には大変失礼な物言いながら「伊那なんて...」と確かに母が言った、というか言っていた。長野県を拠点とする銀行マンだった父の異動が近づくたびに必ず登場する地名。

南北に長く急峻な山々が連なる長野県。太古よりの地殻変動、プレート移動による衝突に生じた隆起は中央構造線、いわゆるフォッサマグナとして大自然の歴史を物語る。南アルプスと中央アルプスに挟まれた天竜川沿いに生まれた集落。辺境の地で寂れかけていた温泉街が復活の兆しを見せているとか。美しい星空は過疎と標高の産物であってそれを逆手に取った作戦が奏功。そんな陸の孤島にリニア新駅が予定されているそうで今回の舞台はそんな南信州下「伊那」郡の一つの町。

発酵と干物は日本の食文化の魅力の一つにて渋柿とて干せば甘くなる不思議。そんな干し柿の代名詞、市田柿の発祥の地、そう、元々は市田村だったそうだけど町村合併で高森町に。御当地の名物は何とも見事な柿すだれ。で、柿といえばだまっちゃいないのがおらがまち。地元の柿好きが御当地に目を付けた。見れば「柿丸くん」などとどこかで聞いたゆるキャラまでいるではないか。ちなみにおらがゆるキャラも「かきまるくん」にて表記の違いのみ。

突然の電話に著作権侵害で訴えられるのではないかと動揺したと笑って話す担当者。そんなゆるキャラのコラボで始まった草の根交流。それが今やおらが区の映画大のロケ地となり御当地を舞台に手がけたドキュメンタリーが好評であるばかりか地元の音大の夏の合宿地にこちらが選ばれたとかで、ならば私も...違うナ。間隙を縫って現地を訪ねればアポなしにも関らずそのまま市長室に通されて...御当地自慢に耳をかたむけた。

御大といえばあの人物を連想してしまうのだけれども語彙の由来は御大尽ならぬ御大将。世間的には御大といえばこの人なのだそうで当人の出生地である御当地には「御大の館」なんてのがあって名こそ知るわが母校の名監督の所縁の品々に功績が紹介されていて、その来歴には「退学」やら「土下座」やら物騒な文言が並ぶ。そんな本人が説いた「人間力」を刻んだ碑が館の前にあった。島岡イズムに学んだ教え子は闘将はじめ数知れず、御大を慕う現役の野球部員が今もこちらで合宿を続けているとか。

そう、そんな御当地には果樹農家が多く、ふるさと納税の返礼品に好評と聞いた。さくらんぼに桃、なし、ぶどうにりんご、干し柿と続く。中でもさくらんぼとりんごは他に勝る絶品だとか。さりとて、昨今などは食うに手間かからぬ果樹が人気にてその筆頭がシャインマスカットなんだろうけど、巨峰系も負けちゃいない。種無し巨峰も皮剥く手間あり、やはり皮無しのこちらの品種に限る。そんな命名をされたのでは他県に広がらんではないかと余計な心配をしてみたくもなるんだけど、流通量が少ないことが価値を高めていたりもして。地元農家イチオシ、直売所で手にした黒紫のナガノパープルが抜群に旨かった。

(平成30年8月20日/2448回)

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2018年8月15日 (水)

盆玉

何処の馬の骨とも分からぬ相手の話を聞くは徒労にて門前払いが関の山。が、センセイの紹介とあらば無碍には出来ぬ、請われて口利きというか市への売込みの片棒を担ぐことになった。無論、謝礼は求めぬ、というかそもそもに向こうにその気なく。依頼主は前職時代の知人。よもや私の顔に泥を塗るまいが、内容位は知らねば...と聞けば今流行りの人工知能を活用した業務効率化にて働き方改革に資するとか。

ふむふむ、「まずは私が聞こうか」-「いや、貴殿は結構」とにべもなく。おい、そもそもに業務効率化なんてのは既存の仕事を奪う訳で敵方の抵抗は必死。ならばそれを監督するセンセイがその気にならずして役人を説得できるかと思わんでもないのだが、悲しいかなそこは期待されておらぬ様子。まぁそもそもに流行に無頓着な上にカタカナの羅列では話通じず、余計な節介は焼かずに限る...でもないか。

さて、母の達筆が過ぎて「盆」が「金」に見えてしまう煩悩を悔いつつ、昨今は正月の年玉ならぬ盆玉などという油断ならぬ慣習が根付きつつあるとかで、盆玉を孫の懐に郷里への帰省を終えた。積善の家に余慶あり、今あるは御先祖様の功徳の賜物。されど、今や墓参りなど口実に過ぎず、狙いは別にあったりもして...。

ということで田舎では同級会が企画されることも少なくない。盆に帰るは亭主側の実家であって嫁いだオンナの都合を無視した暴挙だなどと攻め立てられて、中学時代のソレは秋の連休に「した」というか正確には「させられた」のだけれども何も同級会は中学時代に限った話ではなく。高校の卒業以来、二十数年ぶりの再会の際にこの夏は地元で同級生を囲んでと勢いそのままに開催を指示しておいたはずなのだけれども...おい、これっぽっちか。

たとえ如何なる境遇にあろうとも机を並べて青春を謳歌した当時の思い出は変わらず、出席者の少なさを嘆けばそれは当人の勝手な解釈であって慢心以外の何物でもないと恐妻。私の地元は副都心のようなもので市内ではそれなりに栄えてはいるのだけれども高校のソレとなると市の中心地まで移動せねばならず、運賃こそ首都圏に変わらずも本数は毎時一本にて。言い出しっぺゆえ遅刻は失礼、こちらの都合を考慮せぬ相手の機転の無さを嘆きつつも早め到着にのどしめしと入ったビストロのシャルドネが旨かった。

まぁおかげで本番はすっかり饒舌にて参加者には随分喜んでいただいたはずなのだけれども尽きぬ話題にもう一軒と。いや、折角の誘いながら今回の帰省は家族連れにて実家を不在にしては嫁姑の紛争が生じぬとも限らぬし、何よりも子が父の帰りを待っていると固辞すればオマエに限ってんな訳なかろうにだって。

小中の同級生のS谷が自らの苗字を冠した本格的なバーを開店したと聞いて機会を狙っていたのだけれども泥酔の悪童悪女が一緒では他の客に迷惑。いや、向こうが堂々と入って行っちゃったよ。私が水泳部の主将ならばヤツは剣道部の主将でね、当時から何かと近い仲だったのだけれどもその格好に凛とした姿勢と所作がバーテンダーとして板に着いていて。久々の再会に特別な泡酒を用意してくれたんだけど、泥酔客を後ろにカウンターで呑んだウィスキーが郷愁を誘った。

(平成30年8月15日/2447回)

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2018年8月10日 (金)

画鋲

優柔不断に元来の控え目な性格も手伝ってか伺い立てたものの、選挙は戦と公言憚らぬ後援会長の指示に村中に貼られたポスター。記録的な猛暑とあっては顔の血色も悪く、台風一過にヨレヨレもあったりして村の美観を損ねては...言えた義理か。

印刷代をケチった訳でも安物の両面テープでもないのだけれども貼る以上に剥すは体力の消耗著しく、どうせ数ヶ月なら二枚位は重ねてもと横着した結果、炎天下の中...やはり、サボっちゃいかんナ。それにしてもやって気付かされる支援者の心遣い。多分、剥がれかけていたんだろうけど上からガムテープや画鋲で貼り直して下さる御厚意には頭が下がる。

さて、部屋内では一応「管理職」とされているらしく稟議書が如く回覧される書類に各種申請の押印を求められることも少なくなく。よもや夏休みの旅行気分で行く訳ではあるまいなと念は押さぬまでも行政視察の承認に「渋々と」印を押した。で、居残り組に課せられた宿題の一つに議会改革検討委員会があって、目下、俎上に上がるは「議決事項の見直し」と「議案提出のあり方」について。

一般の方にはなじみ薄くも市政の重要事項については市民の代表者たるセンセイ方の了承を得ることとの規則があって、それがいわゆる議案として審議された上で採決が諮られる。身近なとこでは市道路線の認定及び廃止なんてのがあって、市内全域とあらば箇所数が箇所数だけに一括した議案として処理されるんだけれども公の施設の指定管理者の指定ともなれば時に「一括」という簡略化が判断を歪めることになりかねぬ、十に一つの疑義があってもひと括りにされては否決しづらいではないかと。

相手とて一緒にしておけば反対しづらかろうとの悪意を以て埋め込んで来ぬとも限らず...。否、そりゃ規則でそうなっとるだけで意図的にあらず、気に入らんのであればそれこそ事案括らず肚を括って否決しちゃえば、後は向こうで手立てを講ずるはずで、そこまで執拗に拘らずと思わんでもないのだけれどもこちとら座長にて余計な口出しは後の災いのもとになりかねず。

で、もう一つの「議決事項の見直し」ってのもそのものにて元々は国の法律により限定されていた議決事項以外に自治体の判断により拡大が可能に。結果、本市においても根幹をなす全体計画は議決事案とされたものの、それはあくまでも骨太の計画な訳で役人の意図は細部にこそ宿る、全体計画のみならず個別計画とて対象に含めてはどうかというのが発端。

まぁそのへんもちゃんと見越した上で設計されているから制度的には今のままでも議決事項になり得るのだけれどもそこまでの手続きに自治体間の差異があって。隣接市などは常任委員会が上げる上げぬの権限を有する一方、本市は議会運営委員会の判断とされていて。となるとぐっと上がる敷居にその間に敵方の裏工作が行われぬとも限らず。刀は抜かずとも抜きやすいに限る、実際の報告を受けるは常任委員会ゆえいっそそこで判断するってのも...。

まぁオレを軽視するなとのセンセイの鬱憤が見え隠れしないでもないけど、互いの距離感と信頼関係が薄れつつあることを物語る一幕ではないかと。

(平成30年8月10日/2446回)

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2018年8月 5日 (日)

左腕

古今問わずあれだけの大物を魅了してやまぬ深淵を覗くに達するも趣味にしてはちと金銭的な負担重いことが一因か。愛好者数の減少に反転の兆し見えずと聞くも、おかげさまで大勢の皆様に集っていただいて恒例のゴルフコンペを終えた。

善悪問わず評が立ってなんぼの世界、今年は元プロ野球の大投手が参加して下さって話題性に事欠かず。成績こそ散々なれどただでは転ばんのが政治家ってもんで「大投手含む」おらが村内の腕自慢ひしめく中、ニアピン賞をいただいた。

当日は会費制ながら賞品は支援者からの献品に負う面もある訳で、前日迄に届けるとされた約束の品が届いたのは翌週。今さら優勝者にって訳にも参らず、提供者が上等品と自負してやまぬ「箱入り」の釜揚げしらすを一人豪快に平らげた。上等品なるは目利きとツテのなせる業にて今回はそんな市場の話題。

マルシェなどとカッコつけてみてもやはり威勢のいい声こそがやっちゃばの証。中を覗けば土地の様子が窺い知れるだけに、それが旅の愉しみの一つ。かつては仕入れの目利きこそが頼りにされたもんだけど、今や生産者の情報に口コミ評判もつまびらかになっちゃう訳で、モノとて欲っせばボタン一つで届いてしまうのだから仲介の役割が薄れるのも当然で産直需要の増加に中抜きの構図はどこも同じか。

時代の趨勢にそぐわぬ、淘汰こそ大自然の摂理にて補助金を投じて存続する位ならば...と向けられる冷ややかな視線。抗うことが出来ぬ潮流に座して滅ぶを待つよりも出でて活路をと模索される起死回生の一手。差別化を図るに新たな付加価値をいかに見出すか。農業が六次産業化ならばこちらもその新鮮な食材を利用した市場メシ。

後背地には従来通りの市場機能があるものの、表通りに面した建物には飲食店ののれんがなびく。で、清潔感のある店内は関係者以外にも一般客で賑わいを見せ、それら店子の入居料は市の収入になるのだとか。民間資金を活用したPFI手法にて整備された神戸市の市場を行政視察にて訪ねた。

ひるがえって本市はどうか。外壁に大きな看板こそ掲げられているものの、入口には検問と思しき門番が立ちはだかり関係者以外は追い返されそうに見えなくもなく。いや、実際は普通に場内に誘導して下さるのだけれども一見近寄りがたい雰囲気にあるのは事実。食事処にしても市場の中央にあっておよそ関係者の為の食堂的な意味合い濃く、随分昔に整備されたものだけに、そりゃそれで否めない面もありそうだけど岐路を迎える市場。

そう、役人ってのは物事をソツなくこなすに長けていても大胆な変革となると及び腰になりがちな訳で前述の神戸市なども参考にはなったのだけれども役人の説明だけでは物足りぬ。やはりそれを生業とする卸や仲卸の言い分を聞いてみぬことには...。当日は聞きそびれてしまったもんだから「しらす」のついでにそんな論戦を挑めば沼津が元気だと教わった。

市場には国が許可する中央卸売市場と都道府県が許可する地方卸売市場ってのがあって、前者などは開設者が自治体等に限られる一方、後者には民の参入が認められていて御当地の運営はまさに地元の業者で構成される株式会社。行政に庇護を求める業者側と財政難を理由に拒む行政とあっては何とも寂しい限りだが、状況を打開するに民の発想にこそ糸口があったりもして...。

(平成30年8月5日/2445回)

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2018年7月30日 (月)

機敏

相手が相手だけに為す術なく、追い討ちをかける進路に被害が拡大せんことを祈るばかり。

不謹慎ながら台風は視聴率を稼ぐに最適、当時は「大袈裟に」との特命を帯びて現地に派遣されたものだと元局アナに聞いた。今は知らぬ。当初の過小見積に被害が拡大するよりも心配が過ぎて徒労に終わったほうが世間的には許される訳で、頻発される避難警報も外が大荒れとあっては道中に災難に遭わぬとも限らず、仮に体育館に辿り着いたといえども野戦病院じゃあるまいに冷暖房なくば家の方がむしろ快適だったりもして。機を見るに敏な時の内閣官房長官殿が小中学校の冷房化に言及された。

夏とは暑いものにて所詮は贅沢品位の浅はかな認識しか持ち合わせておらず、居合わせたおらがセンセイに「こう暑くてはかなわぬ。何せ昔は三十度を超えるのも稀でそんな日は父に注意を促されたもんだが、今じゃ四十度ってんだから」と聞いて、機を見るに敏な私も「必要」と相槌を打った。長官の下命に検討に入る文科省。

現行の完備率は都道府県により随分と差異あり、それもそのはず避暑地などはそもそもに不要であろうし、そのへん意識して独自の財源を投じてきた自治体にすれば今までおざなりにしてきた怠慢を棚に上げて些か虫が良すぎやしまいかとの嫉妬もありそうで問われる公平性。一方で国の補助が見込めるとなればそのへんを見越してと後手に回る懸念に霞が関の役人の打つ手やいかに。

さて、本題。世情に疎く、聞いて知る無頓着ぶりを恥じつつ、久々にお会いしたTさんに女児虐待死の話を聞いた。命名の漢字に当時の喜びようが窺い知れるだけに余計に悔やまれると。およそこの手の事件の構図は同じで再婚というか同棲のオトコが絡む男女関係が起因。他人様の子供といえども五歳ならば純粋に愛でるのが普通の大人ではないかと思うのだけれども繰り返される悲劇。男女の関係には口を挟まぬまでも子かオトコかの二者択一の選択で親を捨てるとは何事かと憤慨するTさん。覚えたてのひらがなで必死に助けを求めた娘のメモに涙して成仏を祈ったと。

そんな事件の度に行政側に向けられる矛先。何故に未然に防げなかったのか。児童相談所はどこまで状況を把握していたのか、そんな危険な状況を知りつつ放置した責任やいかに、とは必ず問われる常套句。かつては近所の通報に訪ねども玄関前で追い返されたものの、今や権限が強化されて立入可能に。されど確信犯ゆえ親などは事実を認めぬ。ならばと連れ出そうにも立ちはだかる親子の壁。

両親の虐待に軒先で泣く幼子を見るに忍びず家に連れ帰る主人公。血は繋がらずとも家族として育まれる絆。警察に届けられた捜索願に一緒の姿を目撃されて誘拐犯として...。善意が仇に変わる時。報道会見において両親が見せた安堵の表情とは裏腹にその後も繰り返される行為。確かそんなシーンで幕を閉じたと思うのだが、やはり機を見るに敏か、話題の監督の作品にそのへんの葛藤が上手く描かれており。無念の死に社会が考えさせられることは少なくない。

(平成30年7月30日/2444回)

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2018年7月25日 (水)

激甚

改選前の最終年度にて直前では何かと忙しなく、前倒しを指示しておいたのだけれども「既定の」行政視察を終えた。

調整を委ねた期浅から言い渡された候補地は岡山市と神戸市。決定後に期せずして発生した豪雨災害の状況を踏まえて再考を促すも対応は可能との相手方の返事に現地を訪ねた。岡山市では市の中心地こそ一見平穏を保つも臨時的に設けられた役所の罹災窓口に並ぶ方々の表情重く。当日の視察項目に前後して被害状況等を伺った。

そう、数日前に被災地の親友N君から着信があって、本来であればこちらから御見舞を申し上げねばならんのだけれどもとまずは非礼を詫びた。九州北部から瀬戸内周辺と被害が広範囲に及ぶことから各市町村の詳細な状況までは耳に残りにくく、気は無かったといえばウソになるが、「そこまでの甚大な被害は...」と楽観的な憶測にあったのは事実。

御当地においても死者二十数名と聞いて被害の大きさを知るが、道路の寸断に物流機能が混乱、名だたる大手も集荷拒否、担当に不満ぶつけるも本社の指示とのことらしく、身を以て状況を知る運転手を責めるのは酷というものであって、今回の運送会社の対応は今後の明暗を分けそうな気配。

また、県内の主要駅とを結ぶ鉄道路線も示された復旧目途は年末。線路の破損など限定的なはずも全線不通とはこれいかに。大人は兎も角も朝夕に電車を利用して通学していた生徒の送迎等を見るに忍びず、一部区間の折り返し位は出来ぬものかと。おいおい、そりゃアンタ、私とてやぶさかではないが、そんな時の為の「センセイ」であって御当地の面々は何をしとるんだと聞き返せば姿が見えぬと。

非常事態なのだから他に追われることやむなしにせよ「見えぬ」というのはさすがに...。で、N君とは再会を約束して受話器を置いたのだけれども放っておけぬ性分でね。折角の立場を利用してちゃんと関係方面に現地の深刻な状況を伝えて善処求めておきましたよ。随分と恩義せがましいナ。

さて、党本部で招集された政令市の研修会。やはり御当地のセンセイ方の大半は欠席。スコップ片手に土砂の搬出に汗流すとのことらしく確かにそれも大事なんだけどもうちょっと別な立場で動けぬものかとも思わんでもなく。事前に行われた若手組織(といっても実際は中年なんだけど)の会合では数少ない出席者から生の声を聞かせていただいた。

大規模な自然災害の際に話題に上がる激甚指定。指定されれば復旧に関して国の予算措置が講ぜられることから獲得に必死の自治体。が、仮に指定されども復旧はあくまでも「現状」回復までであって、「現状」では過去に学ばず、繰り返される悲劇。今回の豪雨において甚大な被害が生じた広島県などは数年前の豪雨災害が重なる訳で、現地において建設が進む砂防ダムなどもその効果こそ疑わぬ迄も完成に要する歳月に費用を勘案すればどうか。

百歳の御老人に一千万円のがん治療薬を施す意義は果たして...と巷に聞いたが、崩落の可能性高い山の斜面地に進む開発。ならばいっそ戸建ならぬ高層住宅をなどと従来の既成概念に捉われぬ大胆な発想で復旧を考えてみてはどうかと思うのだけれども。

(平成30年7月25日/2443回)

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2018年7月20日 (金)

支柱

今年も福島の菱沼農園さんから桃の案内が届いた。たよりに知る旬の季節。名産地の親戚から前日に届いたのだそうで、久々に訪ねたKさん宅にて裾分けいただいた桃が抜群に旨かった。

さて、往年のバンカラ伝説が残るSセンセイが政治を志した契機は阪神淡路大震災。二輪車隊を編成し、救援物資を積んで徹夜の疾走。被災地の惨状を目の当たりに心が動かされたと聞いた。物見遊山との批判、労こそ厭わぬも慣れぬ人工はかえって足手まとい、被災地の御負担になりかねぬか等々。この年齢になるとそんな煩悩?に阻まれてためらいがちな行動。現地とまではいかぬまでも西日本豪雨災害の義援金活動を終えた。灼熱の炎天下はさすがに堪えたものの予想以上に多くの善意が寄せられて被災地への惻隠の情や関心の高さが窺い知れた。

募金の際にかけて下さる声に民意を知ることが出来るんだけど、その中に被災地でのボランティア活動を一部戒める御意見があった。当事者の善意こそ否定されるものではないが、やれ何が足りぬと相手の手を煩わせるのは自助の欠如であって、災害に限らず「されてあたりまえ」の風潮は成長を阻害しかねず、自助の意識を育まねばならぬと。そう、サミュエル・スマイルズの「自助論」によれば...との解説はやぶさかではないのだけれども今回の主人公は別な御仁。まぁそのへんは読んだというよりも「見た」に近いかもしれんけど。

働き方改革関連法案が可決されたと聞いた。悪法との批判一辺倒の野党に改革の成果と宣伝する与党。その対立のみが注目されて伝わらぬ制度の中身。可決後においても関心薄い理由をアレコレと思案してみるのだけれども他国に比べ牧歌的な雇用関係が残るわが国において厳格な運用は関係を損ねかねず、両者の命運は制度云々以上に「情」に負う面が大きいように思えてならず。

労働者と資本家の対立は今に始まったものでもなく、搾取する側とされる側、ブルジョワとプロレタリアートの対立。階級闘争こそが社会の歴史と喝破したのがこの御仁。死して尚、隠然たる勢力を維持し続ける背景には理論も然ることながら当人の人間的魅力もありそうで。何故に当人がそこに到ったか、その時代をいかに生きたか等々、人の深淵に迫ることは生きる上で多くの示唆を与えてくれる。あちらの勢力の理論的支柱、かの共産党宣言の立役者を描いた映画を見る機会に恵まれた。

表に平等を唱えつつも内なる組織にはどこよりも厳しい階級が残る体制こそがそもそもにヘンではないかと純粋に思うのだけれども著書に従えば階級闘争はあくまでも過渡期に過ぎず、その先に描かれる理想郷。その詰めの一手が腑に落ちぬことが今の位置に踏みとどまっている理由の一つなんだけれどもそりゃあくまでも私の勝手な解釈で...。

ただ、どこの組織とて同じ、権威と威光を笠に幅を利かせた古株が旧態然と支配する組織に翻される叛旗。そこに挑んだ若きマルクスが権力闘争において掴んだ勝利は若さの特権。辿り着いた境地こそ違えども世を憂う気概は他に劣らず。この夏は歴史的大著「資本論」にでも挑んでみようかと。字が小さすぎて...ムリかも。

(平成30年7月20日/2442回)

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2018年7月15日 (日)

名門

そのものが書籍名なんだけれども最近の一冊に「不機嫌は罪」とあった。初対面ならずとも慣れた相手、目下であってもそんな仏頂面されたのでは折角の話も弾まぬ。さりとて、こう暑い日が続いては不機嫌ならずとも疲労感が...。

そんな夏バテ回復に効果的なのが何を隠そう「ラン」であって、ただでさえ仕事で疲れとるのに走るなんてヤツの気が知れぬとはよく聞く台詞なんだけれども逆ですぞ逆。仕事のストレスなどどこへやら、爽快感が鬱憤を忘れさせてくれる。まぁ一度ダマされたと思って...。

半信半疑といえばこちらも同じ。何々式などと名を利用するは著者の下心が透けて好かんのだけれども根拠なき理論を許さんのがブランドだ、などといわれると妙に説得力があったりもして。ラン効果とて「科学的に」検証せねばなるまいし、何よりも疲労とストレスは健康の大敵、日々の些細な実践で疲れが解消、軽減されるのであれば...と米国名門校を冠した一冊に学んだ。

疲れは神経と体の連携の崩れから生じるものにて「乳酸」にのみ原因を求めるはナンセンス、脳科学の分野から解明進む「疲れ」のメカニズム。昼夜働きが交代する自律神経。疲労回復を担う副交感神経が効果を生むには良質の睡眠をいかに確保するか、睡眠不足などもってのほかにてやはり規則正しい生活こそ最善。蛇足ながら肝心の寝だめ効果は薄いとか。

やはり「脳」ってのがミソで疲れない為にじっとしているよりも体を動かしたほうが血流が促進されて脳と筋肉に酸素が行きわたりもするし、夜間の回復力も向上、本来、ヒトは動くのが原則で脳の中枢神経も体の移動が前提とか。うん、やはり「ラン」は科学的根拠に基づいた...まぁそのへんにして。閑話休題。

さて、今回の要望団体には幾つかのスポーツ団体が含まれる。その一つにGB、いわゆるゲートボール連合があって、「なりゆき上」小生が区の会長を仰せつかるんだけど、進む高齢化に伸び悩む会員数。と申してみてもそもそもに普及推進の活動拠点が老人福祉センターなのだから年齢に期待しちゃいかんのだけれども老いて盛んな意欲は端倪すれからざるものにて今やその種目は高校生にも浸透し、どこぞの名門校でも...と相手方。ふ~む、名門の名を上手く利用しとるぢゃないか。

で、後日、御礼を兼ねてと事務所を訪ねて下さったOさんは現役の保護司。数多の不良連中を自立更生させてきたOさんによればおよそ転落の契機は授業の理解度と悪友からの勧誘だそうで、上位成績者は中位を上げぬものの、下位は中位を下げる、ニュートンのリンゴが如くに。故に下位の脱落しそうな連中が夢中になる機会を与えることこそが非行を防ぐ。それこそがGBと信じて疑わずその理論を実践すべく市内高校のドサ回りを一緒にどうかと。

そう、成績順位といえば以前などは全学年の成績が廊下に貼り出されたりもして一喜一憂したものだけど、こと近年などはそんなことしようものなら...。大概、上下位十名の顔触れは同じであってそれを除いた中位の順位変動こそ著しく。さすがに表彰台を狙おうなんてバカなヤツはいないにせよ、遊び相手のアイツにだけは負けられぬなどと副次的効果もあったのではないかと思わんでもなく。

(平成30年7月15日/2441回)

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2018年7月10日 (火)

胴元

主役級の配役とはいえども舞台への出番は限定的。袖と中央では客席の視線が違う。発言者にでもならぬ限りはその他大勢に紛れて寝ていても、いや、目を閉じていても...否。小舞台といえども真剣そのもの相手に最前列中央が指定席とあっては目を閉じるどころか神経を研ぎ澄ませて...五十数団体の要望を聞き終えた。

まぁ厳密に申し上げれば二手に分かれるからおよそ半分なのだけれども。一方を仕切るのは市連の政調会長でもう片方が団長。内容のみであればメールで事足りるも貴重な時間を割いて訪ねて下さる以上は文章からは読み取れぬ内情を酌まねば代弁など出来ず、こちとてやっつけ仕事では早晩愛想を尽かされるのがオチ。

入札を巡る悲鳴は今に始まったものではないけれど、そもそもに予定価格そのものが根拠ある適正価格にてそこから何割か落とさねば発注せぬなんて仕打ちもどうかと思うけど、競争を促さねば堕落しかねぬとの本来の制度の趣旨も分からんでもなく、改善された最低制限価格は概ね高評価。

新規参入は新陳代謝を促すも垣根を越えた異業種の参入に異端児の落札。低い垣根に殺到する市「外」業者。敵方など垣根のみ高く攻めるに攻めれず防戦一方、折角の納税者が干上がっちまうぢゃねぇかと向けられる不満。ならば垣根を見直すか、否、どこぞの市などは競争を促す分野と市内業者を育成する分野を隔てる匙加減が絶妙だとか。

収まらぬ大自然の猛威、西日本の豪雨災害に平静戻ることを願うばかりも近年は災害への関心高く。備えあれば憂いなしと進む災害協定。その件数やうなぎ上りにて五百件に迫らんとするのだけれども件数のみが注目されて形骸化、実効性伴わぬ紙片一枚に成り下がってはおるまいかとこのたびの定例会の質問に含めておいたのだけれども。防災訓練にまで駆り出されて市に恭順の意を示す私どもと署名捺印はあれども姿見えぬ幽霊と入札時の下駄の高さが同じではかなわぬと。

役所の現場部門などは業界事情や業者動向などに詳しくそのへんを含めて任せて安心、意中の相手がいようとも監視の目が光っていては...。入札は全て財政当局の一部門により仕切られるんだけど職務上、金額しか見とらんことも少なくないからね。公明正大に結果は全て公表しとると胸を張るが、やはり場を仕切る胴元なのだからその入札が好循環を生んでいるか、社長のみならず社員の家族はメシが食えているか、施工時の手抜きはないか等々の隅々まで目を光らせてこそではないか。

そう、今回の団体の一つに、いわゆる耳が不自由で手話通訳者を必要とする聾(ろう)者の団体が含まれるんだけど、そちらの要望に市立聾学校の存続の一項目を見かけた。当事者がその必要性を説いて下さり、十分に頷けるものなんだけれども存続が危ぶまれる背景には生徒数の減少が深刻とか。他の生徒と同じ学校に通わせたいとの保護者の意向に障害者差別解消法やノーマライゼーションの理念により分け隔てなく受入進む実態。

語られる美談に我が子を想う親心こそ否定されるものではないものの、その選択が時に複雑な結果をもたらすこともあるらしく...。

(平成30年7月10日/2440回)

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2018年7月 5日 (木)

外遊

定例会の閉幕に両巨頭は外遊...というか姉妹都市云々と聞いて「いい御身分ではないか」と厭味こぼせば向こうとて不本意な様子。そりゃそうだよナ、公費とあらば路地裏の狙撃兵が狙っとるであろうし、隣席が隣席だけに話題とて仕事の延長上位しか。ならば居残り組、鬼の居ぬ間に洗濯...どころか降りかかる仕事の山。その一つに議会改革検討委員会があって不肖私が座長を仰せつかる。改選期に各会派から上がった二十数項目を協議、任期四年中に結論を得るというものにて佳境を迎える。

一つ目の項目は「議決事項の見直し」。予決算は言わずもがな、市政の重要案件は議案として上程し、議会の承認を得べしとされるも対象範囲をどうするか。中でも総合計画こそ議決事案なれどそりゃ百花繚乱総花的な長期計画にておよそ敵方の秘密工作は細部に宿る、三四年を計画期間とする個別計画も含めるべきではないかと。されど、その数、五百以上。少なくとも「あの」計画位は...で、「あの」をどうするか。

で、もう一つは「議案提出のあり方」。市道の認定は従来から議決事案なのだけれども数が数だけに全て明示した上で一本の議案として上程される。されど、指定管理案件などモノによっては事情や状況が異なる訳で、内一つに疑義が生じても全体として括られては判断に迷うではないかと。そのへんが俎上に上がる背景には役所との距離感が根底にあるんだけど、まぁ私は「座長」ゆえ余計な口出しは...。

さて、重い荷を背負って遠き道をゆくが如しとはかの家康公の人生訓。たかだかその程度で弱音を吐くとは、その甘やかしこそが...なんて当初の勢い何処へやら。相手違えば手のひら返る訳で、生徒の体重十六キロに重量九キロを背負わされる実態を申し上げればヤケに詳しいナとSさん。後援会の御意見番との雑談が小学生のランドセルに向いて、賢くなるに荷の軽重は関係なかろうと改善を求めた...と自らの手柄にしてはバチがあたる。そんなことを求めたセンセイが居たと事実関係を伝えた。

それにしても稀な話題が重なる偶然の不思議に門前の小僧何とかってやつで目は閉じていても話題の英語の教材さながらに残る記憶。軽度の症状は知るもさすがに近所のコンビニ位は...と許した判断に悔やまれる咄嗟の一言。気付いた時は既に遅し。所持金尽きれば駆け込み寺へ、タクシーの無賃乗車か警察署の保護か。警察庁によれば認知症の行方不明者一万五千人もその九割方は一週間以内の発見。不運にも所持金数万円が裏目となって行方不明が一か月以上に眠れぬ日々。家族の苦悩のみならず記憶薄らぐ恐怖は当人にしか知り得ず、もどかしさだけが...。

そんな近隣の事例を示しつつ、求められる認知症対策。早期発見、早期治療が有効と知るも当事者には自覚症状は無い訳でいかに自尊心を傷つけずに専門医に繋げるか。さいたま市や埼玉県にはかくの如き先駆的事例があって本市でも...と御意見番に力説した認知症検診。全てはSセンセイの質疑の受け売りなんだけど、帰り際に御令嬢が誘って下さってこの秋に催される認知症の普及啓発イベントに。

(平成30年7月5日/2439回)

電子書籍「一日一話」

「一日一話」表紙

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