なおログ[Blog]

2019年9月15日 (日)

弁士

特段の便宜図った記憶は無いのだけれども持参されし厚めの封筒。その手の類は全て会計に没収されてしまうからそんな事実、中身の金額を後で知った。晩年は道楽に生きた御仁にて全国行脚の途中に陣中見舞と立ち寄っていただいて、しばし歓談の後、翌日には念願の橋の開通式典にて被災地へ行かねばならぬと見送った。

あれからほんの数ヶ月、突然の訃報に死因知る由もなく、満面の笑み浮かぶ遺影に偲ばれる人柄。享年七十八歳。焼香に待つ列の後ろに聞いた、本人は一年前から余命を知っていたんだ。ってことはあの封筒も...。Hさんらしいナ。

さて、センセイ方に研鑽を積んでいただくべく企画された研修会、人生百年時代に向けた地域づくり~地域包括ケアシステムのあり方について~。招いた講師が最高学府とあらば肩書きに申し分なくも学者然とした内容では心に響かぬ。が、逆も然り、聞く方とて怠惰な姿勢は話し手の意欲を削ぎかねず、成否握るは「双方」の意欲。

長時間に及ぶ代表質問を終えて向かいし次なる会場は市内各校から選抜された十三名の弁士が並ぶ高校生の弁論大会。午後六時の開会といえど疲れたなどと言っておれぬ、何せ彼らとて日中の仕事の後に勉学に勤しむ定時制の生徒たち。

必携品に「ハンカチ」と記されし案内見れば本気度が伝わってくる訳で。そんな特別な機会の式辞とあらばいつになく視線が鋭いような気がせんでもないのだけれども秘書に渡されし原稿にはキチンと「双方」が大事とあった。

高校最後の夏、逆境を好機に変えた野球部の主将は介護士を目指すと言い、万が一どころか十万分の一の狭き門と知りつつも声楽家の夢追う乙女は「今」を後悔したくないと訴え、壮絶な虐待に親元離れて祖母の元に身を寄せる生徒の夢は小説家。

優勝者の演題は「命の価値」。進むペットブームの陰に広がる闇、過剰な交配に安易な殺処分の実態を厳しく戒める内容。動物といえど命を弄ぶなと社会の暗部を抉る内容と技術は秀逸にて選考結果に異論なくも少なからず含まれる審査員の嗜好。ならば私のイチオシは...。

オタクと思しきアキバ系男子の活躍を描いた漫画「弱虫ペダル」、いわゆる弱ペダの登場人物が「ツール・ド・東北」のコースを走る特別画が新宿駅の地下通路に派手に登場。高一の彼女もアニオタなのだそうで、オタクにはキモいとかネクラとか負の偏見が付きまとうと「起」、されどオタクとて...と並べられし魅力の数々はまさにオタクならではの斬新な視点にてオタクもアリかもと惹きつけて「承」。

で、「転」ずるは定時制、そこに向けられる世間の目は未だ冷たく、恵まれぬ家庭、普通校に届かぬ劣等生、不良等々と。が、こんな愉快な仲間はおらぬではないかと笑い飛ばして「結」。オタクと定時制の取り合わせが絶妙にて。

会長職を仰せつかるまではそんな機会があることすら知らず、折角の才能を埋もれさせては大きな損失。その評価は兎も角も広く世間に知っていただくべく、パラムーブメントに次いで定時制高校の振興議連でも...。逆境に挫けぬ彼らの将来に幸あらんことを願っている。

(令和元年9月15日/2523回)

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2019年9月10日 (火)

刺繍

薄汚れた、というよりも「ほんのわずか」に色褪せた程度の防災服に新たな支給を、と古株。が、そこで安易に頷いては若手への示しつかぬ。どうせ年に一回の訓練時しか着んのだから...と返す前に相手の助太刀現れて防戦を強いられた。

生地に差異なくも市職員の防災服の背後には「川崎市」の目立つ文字。対するセンセイ方は胸ポケットの上に「川崎市議会」の小さな刺繍。「刺繍」は要らぬゆえ同じものでも、そのほうが調達面でも効率的ではないか、と緩まぬ攻撃の手。そんな言い分も分からんでもないけれども大して役に立ちもせんくせに余計な動きをされて同類に間違えられたらかなわぬ、本人たちの為にもそのほうが好都合ではないかとの役所の陰謀、いや、「配慮」だということに気付かねば。センセイってのは役所にとっては招かれざる客、か。

あれから一年、総合防災訓練の講評にて北海道胆振東部地震における大規模停電、いわゆるバーンアウトの話題にふれた。事前通告とあらば隠蔽の恐れあり、想定外こそが災害にて「より実践的」な、つまりは台本なき訓練を「ブラインド」というらしいのだけど語学に堪能な妻には目隠しして非常口を探す訓練と写ったらしく。語学以上に求められる一般常識。

公用車にふんぞり返っていても難局の陣頭に立つ用意はある訳で事前の警戒発令といえど避けられぬ被害。迫り来る台風に届く避難所の開設状況、枕高く寝れるは彼らのおかげにて役立たずとも慰労位は。逆に解釈されかねぬと知りつつも夜間に指令本部の区役所と避難所となりし体育館を訪ねて状況を聞いた。通過時はかえって危険、いかなる事情に避難の判断を下したかは以後の参考になる訳で。が、それ以上に現場に知る体育館への冷房の必要性。

迫る消費税に騒ぐ外野はいつもの話。が、上げる方とて既定路線と涼しい顔をしていられるもんでもなく、かねてよりの幼保無償化がようやく実現。収容人数二千人の会場を埋め尽くすは子育てに励む幼稚園父母の会の保護者の面々。渡されし原稿にはまさに「旬」な幼児教育の無償化に関する記述多くもそりゃあくまでも役所都合の話であって、予算確保以上に大切なことを伝えるがセンセイの役割。

幼少期の経験が将来を左右するは言わずもがな、相次ぐ物騒な事件の背景には当時の複雑な家庭事情があったりもするもので、溢れるコップの水が如く親の愛情足りれば他に譲ることを覚える、わがままならず他人様への思いやりの心育まれるものにて要望の実現に労は惜しまぬも保護者の皆様の協力なくして豊かな情緒は育めぬ。

さりとて選べぬは出自、それを補完するは友人であり幼稚園の教諭。当日の資料に目を通していて幼稚園協会の会長の寄稿文にペスタロッチの記述見つけた。片田舎で孤児たちの為に献身的な活動続けた同氏の功績は広く世界に知られたところなれど、その同氏が目指したものがまさに...。

王は何かを「得る」のではなく、何を「与える」かだ、と、ムファサがシンバを諭す「ライオン・キング」上映中。

(令和元年9月10日/2522回)

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2019年9月 5日 (木)

料理

人知及ばぬ大自然。不運にも被害に遭われた自治体への見舞金目的に報酬から基金化を図っているのだけれども昨今は原資が枯渇しかねぬ状況。それだけ多いんだよナ。

市の総合防災訓練を前に議場における避難訓練を終えた。所詮は訓練に過ぎぬとの認識からか緊張感の欠如甚だしいとの副議長の激に改善いかほどか。本会議中における大規模地震の発生を想定した訓練にて意義こそ否定せぬも腑に落ちぬのは...その順番。何を隠そう私の退出が「最後」だそうで。災害時における市の対策会議の本部長が市長ならば私も市議会を包含する別働隊の責任者にて最優先に逃すが理にかなわぬか。まぁ議場席の最前列位は将来の有望株にて大目に見るにせよ、二列目以降などは...。

俊敏性に欠ける連中の退出を待っていたのでは埋もれかねず。別経路にて避難せし理事者側の順番は危機管理監に先導された市長が先頭だったような。災害時の退出順に見る「長」の格差。いや、「長」たるもの最後の一人まで見届けてこそ...んな訳ないナ。議長が欠けては折角の災害本部も機能せんではないかと問えば職務代理者がその職務を代行すると要綱にあるとか。その手順とて議事を一時中断、経路の確認後に職員の誘導に従い避難するというのだけれども指示待つは長く、普段とらぬ姿勢にせっかちな連中とあらば果たしてそこまで冷静に対処出来るか。

訓練後の講評に立つは消防局長。北極圏に生息するセイウチは群れの行動、ホッキョクグマは天敵なれど陸はクマに分があり。追わずともそこに居ることを示すだけで相手が勝手に錯乱状態に陥り、我先に逃げまどう群れの下敷きになりし子供が餌食なる悲劇。理性あるホモサピエンスゆえ「殺到」することないはずだが...とこちらの胸中見透かしたかの如く、厄介な連中を諭すに十分な内容。

閑話休題。来賓として招かれし市の老人福祉大会。町内会の単位ごとに編成される老人会の永年活動の受賞は団体に付与されるものなれど賞状受くるは代表者。団体名を呼ばれるに気付かぬ受賞者少なからず、いぶかしく見ていたのだけれども年齢資格は十分と思しき隣の来賓に個人名を呼ぶべしと言われてはたと気付く。それが老化ってもんで。

こちらの常識通じぬ相手に募る鬱憤、叱責されて贖罪の念に悩むは症状の進行を早まらせかねず。彼らとて故意に間違えるものでなく、不作為の結果なのだからそこは寛容であっても。いつぞやに聞きし料理店の話。働くは認知症の方々ばかり。そこには金銭に換えがたい充実感、生き甲斐がある訳で予め心の用意あらばそんな粗相とて笑って許せるもの。ハンバーグが餃子に、注文をまちがえる料理店は私行かずと大盛況だそうで。

餃子食えずともそんな善意が広く知れ渡る意義小さくなく。立案者曰く、譲れぬ条件二つ。料理店のクオリティ、つまりはオシャレで旨い料理にはこだわった、間違えるに「わざと」はやらぬと。ってことは厨房のシェフにおらぬはず...なんてのも偏見か。手料理は意にあらずと旨いと食うべしと古老に教わった。

(令和元年9月5日/2521回)

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2019年8月31日 (土)

石橋

部数減といえど未だ残る権威、そこに名が踊るは勲章にて拾われる為に積まれる研鑽。が、それが相手の識眼による取捨選択というよりも当事者の押売りの結果と知るは暫く後にて、所詮はそんなもんだよナと気付かされる現実に磨くべきは質問力ならぬ記者とのコネか。今さら個人的な宣伝など無関心ながら折角の機会に手ぶらで帰す訳にもいかず。どこぞの著名人ぢゃあるまいに囲まれて優越感に浸るは勘違いの元、不慣れな上に目前に置かれた録音機と映像機材あらば憂鬱この上なく、「苦手な」記者会見を終えた。

久々の常任委員会。進む駅周辺の開発に土壌汚染が発覚、従前の土地所有者として求められる損害賠償の報告を受けた。知らず買わされたほうの憤懣は分からぬもないが、当該地は道路地にて売却前の事前調査の義務無く。が、故意ならずとも支払いの原資は税金にて額の妥当性に義務の範囲等々の検証は欠かせず。

対岸の空港に行くに上流に遡らねば川は渡れず、進む念願の羽田連絡道路。橋梁の完成が間に合わぬ上に安からぬ追加負担が生じると。あれこれと理由並ぶも相手方に「一度受注さえすれば...」の隠された意図は無かったか、いや、仮にそうだとしてもそこを見抜くが発注側の役目。こと最近は議会の承認後に追加負担を求められる事案が目立つ。議会側の敷居低くば緩むタガ。

急な報告。御自宅まで報告に上がりますゆえと言われれば相当に切羽詰まった様子が窺い知れる。昼に待ち伏せと思しき記者に問われし返答は「存ぜぬ」。迫る消費税に合わせた市バスの料金改定。過去に増額を見送り続けてきた経緯を踏まえてそれ以上の増額が図られる予定なのだけれども許認可を巡る国との交渉が難航、一部の増額がかなわぬとの報告を受けた。

国の担当者の交代に伴い、従来の言い分が認められぬとの弁明も地元の陳情ぢゃあるまいに担当者の解釈で左右されてはかなわぬ一件。が、それ以上に人事異動は四月、以降、およそ交渉過程において不穏な空気は掴めていたはずで何故に今さら。それが記者の後追いとあらば「隠蔽」なるものを疑いたくもなる訳で拭えぬ不信感。

石橋を叩いて渡るが役所、そんな杜撰な折衝では有権者の皆様に顔向け出来ぬ、国といえども責任の所在を明確にしていただかなければと事情聴取に言及するに及び腰の担当。そちらに言えぬことを言うが我々が役目、よもや別な隠し立てでもあるまいな。結果的に消費税分の増額「だけ」に留められた格好で利用者の負担は軽減されると申してもそりゃ遁辞ってもんで別な次元の話。

「表沙汰になる前に」「国との関係がこじれる」「施行日は市長の一存」と並ぶ御託に物言えず。そもそもに仕事に向き合う姿勢そのものが世間様とズレておらぬか。足りぬ緊張感、私が一兵卒ならば鋭い質問を浴びせるところもそれが叶わぬ立場にて他のセンセイの御手並みを。

(令和元年8月31日/2520回)

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2019年8月28日 (水)

蝋燭

提灯の蝋燭は御先祖様の命にて消さぬようそろりそろりと墓から自宅へ。揺れる炎にどこからともなく風が吹き...あ~あ、消えちゃった、幼少の懐かしき記憶。蝋燭を命に重ね合わせること少なくなく。棺に添えられし一本、徹夜とあらばうたた寝によろめいて倒しかねず、別な不幸が重なっては...。と用意されし擬似モノゆえそちらの心配なく甘えて熟睡してしまったのだけれども翌朝の起床早く、護り番を弟に委ねて朝ランに出かけた。

果報過ぎるは何かの兆候、大台突破に首位当選、それでいて公用車の付与といつまでもいいことばかりは続かぬ訳で。忍び寄る戦争の足音、ひとたび要請あらば生きて帰れる保証無く、子孫残すは自然の摂理、昭和十九年生まれは一人っ子が多いと聞いた。女手一つで育て上げた子に先立たれるも議長として全国戦没者追悼式に参列する孫の姿を見届けるかの如く祖母が逝った。

親兄弟に不幸があれども平然と祝辞述べねばならぬ世界。慶事弔事は自己都合に過ぎず、他人様に会うが仕事にてそんなに悲嘆に暮れていては礼を欠くというか故人も浮かばれぬ。家族葬と申してみても事後の弔問に手ぶらで帰す訳にもいかず用意される返礼品。ならば隠さずと知らせる、いや、知らせずとも隠さず。やらばそこに人が集まることの意義を説くはおらがセンセイ。薄れゆく絆、昨今なんぞは遺族ならぬ自治体が条例にて香典等の自粛求める事例あるやに聞いた。

住職が弟と同い年ならばその姉君は私の同級生にて里が知れて困るもんではないのだけれども遠く離れた片田舎の一事、ましてや祖母とあらば尚更にて弔意の類は固く辞退と残したつもりが、姿現したるは後援会長。花びら散れども花散らず、形滅びても人は死なぬと住職の説法に耳を立てつつ、悪童時代に散々世話になった近所の方々に参列いただいて喪主の大役を終えた。

他人様に迷惑をかけるなと復帰急かす母、いや、それ以上に帰省の事実が知れ渡らばよからぬ誘いが無いとも限らず、早め復帰を意図するも週内は休むと告げた手前、帰るに帰れず。気晴らしに酒でも...そうだナ。二十数年ぶりの再会に尽きぬ話。受けた恩は心に刻み、与えた恩は水に流すが人の道。見返り求めた記憶はないのだけれども良寛牛乳一本に夏休みの宿題を写して留年を免れたとはM君の談。高校は首席の卒業もついぞ人前で勉強している姿を見たことが無かったとI君。

そりゃ努力っちゅうもんは人の見ておらぬ時にするものと酔った勢いに言い返さばかねてよりの疑問、不得手に見えずと運動部に属さなかった理由問われて、部活で疲れては勉学が疎かになりかねぬと母に咎められたからとはこの齢ゆえ言える話。そんな家庭、教育熱心な母親に放任主義の父親にて祖母と友人に恵まれねば今頃はとんでもない異端児であること必定。こう見えて初孫な上に祖母っ子ゆえ。

(令和元年8月28日/2519回)

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2019年8月20日 (火)

開通

事実は小説よりも奇なり、されど、その洞察力と表現に教わること少なくなく。これ見よがしの文学賞の受賞者ならずと非凡な才能の主はいる訳で。今どきの独身事情というか親婚活を描いた一冊を終えた。が、んな余裕あるならば目通しせよと手渡されし子の読書感想文。文章こそ粗雑なれどその言わんとすることに親馬鹿ながら成長が見て取れたりもするもんで、豊かな情緒育むに読書を課すは教育上、有効な手立ての一つではないかと。

過保護は子の為ならず、と申してみても老後の心配尽きず。そんな事情は何処も同じ、こちとて権威に居座る日々長からず、いづれに備えて下も手懐けておかねば老後というか退任後は寂寥感に苛まぬとも限らず。新人たちが私に「内緒」で視察に出掛けたと聞き及んで、「誘ってくれぬとはつれないではないか」と恨節をこぼさばしばし後に「一緒にどうか」と声をかけていただいて指南役というか雑用係を仰せつかることになった。行先は東北、当人曰く、震災の後に現地に足を運んだ経験がないというか、生まれてこのかた東北を訪ねた経験が無いのだそうで。おい、今まで何をやってきたんだ。

震災直後に訪ねしは町民の避難所となった大槌町立安渡小学校。忘れもせぬは震災の年は選挙の年ゆえ、当時は選挙時に集めた募金を後援会長と届けに伺ったのだけれどもまさに空襲後の焼け野原が如く。眼下に見下ろす荒野に無残な姿晒す鉄軌道。あれから八年、三陸鉄道の開通はまさに地元の悲願。その鉄道が向かう先は言わずと知れたラグビーの町。ワールドカップの開催地と聞いて試合観戦を所望すれど日程理由に却下され。大自然の摂理といえど人知に救える命はある訳で、津波てんでんこなる過去の教訓生かされた防災教育が浸透し多くの子供たちが救われた釜石の奇跡。

そして、その隣は甲子園の予選に沸いた大船渡。あれこそがまさに議員冥利だとおらがセンセイに言わしめた避難路有する越喜来小学校の校舎は跡形なく今や高台に移転。中心部には宿泊施設が建設され、復興進む様子が窺い知れた。庁舎が壊滅的な被害を受けた陸前高田市は高台に仮庁舎が建設されてはや八年、未だ仮設の庁舎に移転進まぬ理由を現地の職員に尋ね、その後に復興を祈るべく立ち寄りし奇跡の一本松にて本市のK理事と遭遇する妙縁。

押せ押せの行程に気仙沼には立ち寄れず一路向かうは仙台市。そちらとて以前に訪ねし南蒲生浄化センターも予定していたのだけれども荒浜小学校のみに留め。がれきこそ撤去されたものの未だ爪痕残る被災地、多くの命を奪った震災を語り継ぐべく残された遺構に向き合わば学ぶこと少なくなく。繁茂する草木が物語る歳月、「被災地に咲く向日葵や月日過ぐ」と詠んだ。全行程二日間の走行距離一千五百キロ、久々に目一杯の視察を終えた。

(令和元年8月20日/2518回)

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2019年8月15日 (木)

特典

名を告げれば思わぬ特典が付くやもしれぬ、中学生ともならばその位の知恵は働く訳で、聞かれし妻の返答は「恥の上塗りになるからやめなさい」とか。出さずと丁寧に対応いただいて、夏休みの宿題、市役所の取材を無事に終えたと聞いた。そう、特典といえば未だ趣味に記すには到らぬもその魅力知る宝塚歌劇団。本市初と思しき公演に席の融通を頼まれ。施設を貸すといえど規定の利用料を御負担いただいている以上は興行主の善意次第も地元開催の公演とあらばその位は何とか...「ならない」のだそうで。されど、そこはさすが役人、議長自らの鑑賞とあらば再交渉も辞さぬと聞いて、「い、いや、そこまでは...」と御返事申し上げた。

あの日の冒険を忘れし大人たちへ...との字幕。あれがなければ少しばかり成績も良かったかもしれんけどあの没頭した日々は無駄ではないはず。今さら画面に向き合うつもりもないけれど世代を越えて魅了し続けるあのゲームの隠れファンの一人。未だ衰えぬ人気に待望の映画化、ネット上では辛口批評が勝るというが、ディズニー映画に見るまでもなく、愛と友情、そして正義は勝つと不変の価値観を描けばハズレなく。何よりもあの音楽、ゲーム音楽といえど新たな分野を開拓した同氏の功績計り知れず。象牙の塔と揶揄される独特の世界にあって異色の経歴、音大を志すも必須のピアノに難ありて独学で学んだとか。ちなみに東京競馬場のファンファーレはこの方の監修。言わずと知れたすぎやまこういち氏。

ドラクエが二十年ならばこちらは二百年、世紀を越えて愛され続ける名曲の数々。世の三大とされるヴァイオリン協奏曲はベートーヴェンにブラームス、そしてメンデルスゾーンというのだけれどもこの一曲とて劣らず、前二人はそこに登場せずとも評価十分にて座を譲っても...。楽聖と並ぶは最高の栄誉にてそちらは外せぬ、されど、名手ヨアヒムが初演のブラームスの一曲とて捨てがたく、いっそ三とはいわず四大にでも。そんな名曲を披露せし楽団は今年初見参の仙台フィル。首都圏のオケが一堂に会する夏の祭典サマーミューザは本市が誇る極上のホールにて廉価で気軽にクラシックを愉しんでいただこうと企画された興行にて今年もいい曲目が並んだ。

新百合の出張公演は前述のメンデルスゾーンの協奏曲に私イチオシのブラームスの交響曲第一番。仙台フィルのチャイコフスキーはヴァイオリン協奏曲以外に交響曲第四番。五番こそ人気高くも四番も劣らぬ名曲。最終日のフィナーレを飾るは東京交響楽団によるシューマンのピアノ協奏曲に「革命」の異名有するショスタコービッチの交響曲第五番。そう、およそ三大などと申してもそこに甲乙あるものでもなく嗜好の話、三つ挙げよといわれればドラクエ以外に「クララ・シューマン愛の協奏曲」と「モーターサイクル・ダイアリーズ」か。前者はブラームス、後者はキューバ革命の英雄チェ・ゲバラの若き日を描いた作品。

目下、月組の演目がそちらと聞いた。

(令和元年8月15日/2517回)

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2019年8月10日 (土)

特例

趣味とは言わぬまでも対人は苦にならず、それを仕事とも思わんゆえ休暇など年に数日あれば...。と能天気は本人位なものでその役職に付随する関係者少なくなく。居らずと咎めぬから御自由にと伝えておいたのだけれども手渡されし予定表。一部の関係者にしか覗き見れぬ、というか誰に見られているかさえ知らんのだけど、横一列にズラリと「休」が並んではよもや外遊などとヘンな憶測を生まぬとも限らず。あくまでも議長室が「不在」ってことで本人は炎天下に負けず歩いておりますゆえ。

なった途端に姿が見えぬ、さぞ公務が多忙に違いないなどと同情して下さるは少数派でおよそ大半は折角の機会に顔も見せぬとはけしからんとの胸中。議長といえど四十半ばにしてまだまだ若い新人には負けぬ、日に盆踊り二十件など...。犬の小便が如く痕跡残さばあとは口コミ効果で広がるものにて受付のみで退散しようと振り向きざまに「おい、議長」と声の主は虹ヶ丘のK会長。今日「も」運転手がいるんだろと拒む間なく注がれし麦酒。干さねば帰れぬ、されど「公用」にあらずしてそちらは不在。くだらんことだけは機転が利くから披露宴の新郎が如く相手見ておらぬ隙に...。その後も各方面の歓待ぶりに上がらぬ重い腰。万福寺、東百合丘、高石と二十どころか「たった」四つで力尽きた。

が、そんな機会に聞く役所の評判。日頃温厚な支援者から尋常ならざる剣幕で詰め寄られればまずは非を詫びつつ、聞けばその理不尽な回答以上に担当の態度が癪に障ったらしく。監督役が不甲斐ないゆえああいうのが跋扈すると向く矛先。相手に都合の悪いことこそ慎重かつ丁寧に対応せねばならんのに役人にあらずば人にあらず的な態度をとらば火に油。結果、上席に後始末を指示するのだけれども機微に疎いというか世間を知らぬというか余計な仕事を増やしてどうする。

さて、久々の常任委員会は請願の審査。進む市内の再開発、そこに安からぬ税金が投入される以上、市とて口を挟む。用途地域の指定権限は市が有するのだけれどもその指定が気に召さず、再考を求める一件。開発後の大通り沿いに商業施設の誘致を、と近隣商業地区として定める、つまりは容積率が緩和されて従来よりも商業目的に利用しやすくなる一方、防火基準が厳しくなるから新たな負担も。で、その範囲をどう定めるか、そこがまさに「役所的」なのだけれども道路中央線から両側一定距離をそのままにやるもんだから。

自らの土地の真ん中に規制線が入るとあらば不愉快なのは言わずもがな、そこに個人的な鬱憤が含まれることは想像に難くないのだけれどもそれは記さぬが利口。そもそもにその為に用途地域を変更するのだから一定距離などといわず全体に適用範囲を広げよと。ふむふむ、事情は分かった、されど、そこに携わる関係者の合意の下で現在を迎えとる訳で変更後も「再び」得られるならばそれも了となるのだけれども逆に新たな火種を生みやしまいか。再開発に絡む利害調整、全てを酌んでいては前に進まぬどころか道路一本生まれず。水面下の個別対応とてそれで済めば目をつむるもやぶさかならずもゴネ得許されるとあらば他に波及せぬとも限らず、特例の特例ならざるが厄介也。

(令和元年8月10日/2516回)

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2019年8月 5日 (月)

白湯

証拠残るとあらば言葉選びは慎重に、余計なことは言わぬに限るも「市の魅力を存分に」と向けられて収録前の勢いそのままに勝手過ぎたる三十分。途中、地元イチオシの贔屓店を聞かれて土用丑の日とあらば迷うことなくその名を告げた。いつも並んでいて今夏は未だ好物にありつけず。ラジオ出演のひとコマ。

さて、夏休みこども議場見学会を終えた。昨年は定員に及ばずも今年は申込多数にて抽選。前回の記者会見の際に報道陣にハッパかけた成果かはたまた議長人気か、所管局に見解聞かば定員枠を減らしたことが原因ではないか、との分析にまぁそんなもんでしょうけど。実は議長にしてようやく公費で支給いただける名刺。特有の字の大きさに縦書き、左上に付された市の紋章に異論なきも右下にゆるキャラがいてそれが安っぽい、いや、威厳を損ねておらぬかとキャラの削除を口にしかけるも隣の一言に言わず思いとどまった。「親しみやすくていいじゃないか」と副議長。親しみやすい...か。

名は「およよん」、本市の市外局番に由来する命名だとか。伏魔殿が如くに近寄りがたい議会の印象を払拭すべく誕生したキャラにて市立川崎総合科学高校の生徒による作だとか。私にしてその程度なのだから他は推して知るべし。元々この手のものには懐疑的な連中少なくなく、これまでも慎重に事を進めてきたらしいのだけれどもこれを巷に広く知らしめるべく普及に一役をと請われて、そりゃ戦犯である前任者がその責を負うべきも後始末...否、旗振りを担当することになった。まずは各局に乱立するゆるキャラ、ミュートンにかきまる君は黙認の上、他は一掃して市の公式キャラとして全国のゆるキャラ選手権にでも。

が、その為には先立つものがなければ前には進まぬ、着ぐるみの予算確保を指示すれど示される難色。ただでさえ自己に甘く他人に厳しい面々がそんな勝手を許すはずもなく。というか、その存在すらあくまでも「議会かわさき」広報キャラクターなる身分でしかなく、ならばそこまでぜずと然るべき手続きにて「公式」への昇進を図ってはどうかと具申してみたものの、「多数の」賛同得られるかは微妙とか。評定の結果、まずは露出度を高めて知らず浸透を図り、気付きし時には未だそんな地位に甘んじていたのか、すぐにでも昇進をと敵方に言わしめるが最上。ということで好機とばかりこども議場見学会の案内役を務めていただいたのだけれどもこれが大変好評で「およよん」も大ウケとか。勿論、件のラジオ番組でも「大々的に」宣伝しておきましたし、着々と進む敵陣の包囲網。

そう夏休みの宿題といえば読書感想文。目下、鞄の中の一冊にある御仁の伝記があって、本人の腕白ぶりも然ることながら目立つ伴侶の良妻賢母ぶり。位人臣極めしその父君によれば、仕事なるものは「白湯を飲むが如くでなければならぬ」、つまりは、波瀾を起こさず、痕跡を留めず、当たり前に成るようにして成ったという具合に仕上げるべしと。白湯は水ではない、湯でもない、味は無いが胃の腑に優しく流れ込む飲み物にて薬の服用には恰好とあった。そうそう、白湯が如く...。で、肝心の「およよん」はこんな感じ。

(令和元年8月5日/2515回)

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2019年7月30日 (火)

眼鏡

まさに役得...でもないのだけれどもひと足早く昨年度の決算概況の報告を受けた。梅雨明け宣言に恥じぬ夏空とあらば折角の機会もまさに上の空、いや、悪い冗談。ふるさと納税、本市が不名誉な記録背負う流出額のみならず財政の健全化が過ぎて国の補填措置「も」なく。が、心配に及ばず、返礼品の過当競争に国が対抗措置を講じた以上は流出額にも歯止めがかかるはず...。いやいや、「そんなオイシイ制度があるならば」と世間の認知度が向上、更なる深刻な状況が見込まれるとか。これぞ炎上効果、ということでまずはそんな話題から。

負けるは兵家の常なれどその采配に寄せられる批判。当人とて十分、いや十二分に分かっている、苦渋の決断を下さざるを得なかった監督の心境なぞ外野には知る由もなく。暫くは様々な葛藤を抱えつつ、日々を過ごされるんだろうけど、選手とてまだ若い。勝利以上に敗北にこそ得るもの多く、いつの日か分かる日が来る。被災地復興の美談生まれずとも大船渡に怪童ありとその名を全国に知らしめた功績大きく、大黒柱が登板せずと最後まで戦い抜いた選手たちに心からの拍手を。

一流を目指して露国に学んだTさん、当時の先生から聴衆を魅了するには鍵盤を叩く技術だけではダメ、ピアノに限らず様々な経験を積むことが大事と教わったと聞いた。されどそりゃあくまでも若者の特権ってやつで何もその齢で決断せずとも。私のホームページを手がける同い年の友人が何を血迷ったか脱サラの上、世界一周漫遊に。次なる仕事の依頼も帰国後にしてくれと不都合この上なく。出国前にメシを御一緒したのだけれども話題は当人の専門分野。凋落著しい工業都市の復興に美術館が一役買った話とか聞かされる世界の動向。

一流の美術館に旨いメシあり、国内では国立新美術館がイチオシと。店の名こそ知りつつもいつぞやに金沢にて入りそびれて以来。庶民には安からぬランチの金額とてあれだけの贅沢な空間に名に恥じぬ旨いもんを食わしてくれればそれだけでも行く価値ありか。で、肝心の美術館はオーストリアとの外交樹立の節目を記念した企画展。名画語るはおこがましくもそこに優劣などあるものでもなく美意識なんてのは人の勝手、それらしく眺めておれば格好は付くもので。オーストリアといえば音楽は欠かせず、人気はやはりこの作曲家。いつぞやの教科書に見かけし肖像画がそのままに、が、そのすぐ前には肖像画に見たアイテムが。シューベルトの眼鏡。

子の教育に口を挟まぬ、いや正確には挟「め」ぬのだけれども夏休みの宿題が美術館だそうで、そんな時だけ相手頼まれ。中学生以下は入場無料とは粋なはからいながらも仏料理をせがまれてはかなわぬ、ということで巷の宣伝目立つ国立西洋美術館の松方コレクション展に。修復途中の「睡蓮」に収蔵品の苦難の歴史が窺い知れた。巨匠モネへの陶酔とその親交は知られたところなれど、折しも時を同じくして目にした友人の投稿はオルセー美術館にて向き合いし一枚「死の床のカミーユ」。貧しきモネの運命を左右した代表的作品。

(令和元年7月30日/2514回)

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